これまで退職を迎える年代層が中心となってIFAを活用してきていましたが、ネット系証券会社などがIFAにビジネスプラットフォームを提供し始め、若い年代層にも広がりを見せています。
IFAの主な業務は、顧客のライフプランやニーズに合った金融商品の選定から運用方法、あるいは各種制度の提案、売買取引の支援などを提案することです。
顧客に寄り添った細かな投資のアドバイスをします。
本記事では、IFAの特徴や、利用すべきポイント、選び方と将来性を解説します。
IFAとは
IFAとはIndependent Financial Advisorの略称であり、独立系ファイナンシャルアドバイザーとも呼ばれています。
金融庁は、
IFAは、個人・法人の投資家向けに資産運用などの金融サービスを提供する担い手の形態の一つである。金融機関の社員ではなく一定の独立した立場の下で活動する担い手を表す。
と定義付けています。
日本におけるIFAの構成は大きく分けて、個人で金融商品仲介業者の登録を受けて活動するIFAと、法人の金融商品仲介業者に所属して組織で活動するIFAの2種類です。
法律上は、証券会社や登録金融機関(銀行等)の委託を受けた形で運営されています。
*1引用元: みずほ総合研究所株式会社「独立系フィナンシャルアドバイザー
(IFA)に関する調査研究」
IFAの特徴
日本におけるIFAの特徴としてまず挙げられるのが、特定の証券会社や登録金融機関(銀行等)に所属せず独立した立場であることです。
そのため、販売する商品に制約がなく、顧客に寄り添った提案が期待できます。
例えば、顧客から相談を受け、顧客のライフステージに応じた資産形成に関する総合的なアドバイスを伝え、金融商品やサービスの具体的な提案が可能です。
IFAは、証券会社や登録金融機関(銀行等)から販売手数料、信託報酬等に基づいた報酬を受け取るので、顧客との利益相反が生じません。
そのため、日本のIFAは金融機関の代理人ではなく、顧客の代理人として活動しています。
独立した立場からアドバイスをすることで顧客との信頼関係を築き、長期的にサポートすることに重きを置いています。
IFAがあなたの強い味方になる理由
将来に向けて、投資による資産形成を考える方にとって、IFAはとても強い味方になります。
実際に自身で資産運用をされている方でも、
本当にこの運用方法でいいのだろうか
もっと効果的で、適切な方法があるのではないか
など不安を抱かれている方は少なくありません。
IFAはそのような顧客の不安を取り除きます。
なぜそのように言い切れるのかを5つの理由に分けて解説します。
1. 相談料無料
日本おけるIFAは、基本形態が証券外務員とされています。
収益のほとんどは、証券会社や登録金融機関(銀行等)から投資信託の販売等を通じた販売手数料、投資信託の預かり資産残高に応じた信託報酬等が中心です。
一方で、金融のアドバイザーとして伝統的に大きな地位を占める英国のIFAや、米国の約12.7万人(*1)にも及ぶIFAにおいては、顧客からアドバイスフィー(=相談料)を受け取る構造となっています。
日本のIFAにおいては、相談料を受け取る場合は、投資助言業登録が必要となってくることから、相談料を受け取ることはまだ少ない傾向にあります。
しかしながら、今後日本のIFAが英国や米国のように、IFAに資産運用を依頼することが社会的に浸透すれば、相談料が発生する可能性もあります。
*1 引用元: 沼田優子「日米独立アドバイザーの現状と課題」(2018年9月)
2. ライフプランに沿った資産運用計画を策定してくれるIFAもいる
ライフプランに沿った資産運用の計画を立てることは大変な作業です。
初めてとなると、
リスクの範囲はどこまでが許容か
といった疑問すら浮かばず、長期計画を立てずじまいになるケースや、計画を立てても無理な計画になってしまい、上手く立ち行かなくなるケースなどが考えられます。
IFAのなかには、ファイナンシャルプランナー(FP)や、保険代理店を兼業するIFAや、証券会社・銀行などの金融機関出身のIFAが多く存在します。
そのため、キャッシュフロー表・バランスシートを用いて、生涯の資産総額の推移を設計し、投資運用・ライフプランニングに基づいた投資方針を提案することを得意としているIFAも多いので頼りにすることができます。
また、バックグラウンドに金融に関する職種を持たないIFAでも、IFAとして活動するためには証券外務員資格を保有している必要があります。
金融商品に関する専門的知識を豊富に備えているので、顧客の価値観やライフプランなど詳細を把握するためヒアリングを行い、資産運用・投資運用に関する不安を解消すべく顧客のニーズに寄り沿った提案をしてくれるでしょう。
3. 長期にわたってサポートしてくれる
IFAは特定の証券会社や登録金融機関(銀行等)に所属せず独立した立場であるため、会社都合の転勤はありません。
仮にIFAではなく、特定の金融機関の資産運用アドバイザーであれば資産運用を長期で手伝うことは少ないかもしれません。
金融の営業マンの側面が強ければ金融商品を売ったら終わりで事後のサポートはおざなりになってしまう可能性もあります。
独立した立場であるIFAであれば、
といった心配もほぼありません。
資産運用は投資して終わりではなく、ライフステージの変化や、金融市場の変化に合わせて目標値や投資対象を変更しなければなりません。
転勤もなく、ずっと同じIFAに相談できれば、長期的な視点で資産運用のサポートを任せられます。
4. 中立な立場から金融商品を提案できる
IFAの業務にとって、最も重要な課題は顧客との信頼関係を構築することです。
IFAの業務では、顧客に資産運用などの金融サービスを提供します。
顧客との信頼関係を損なわないため、顧客にとって有益とならない商品は提案しません。
本当に顧客のことを考えた提案は、どこにも所属していないIFAだからこそできる強みであり、顧客にとってもIFAに依頼するメリットです。
証券会社に所属する資産運用のアドバイザーだと金融商品の卸元の利益を優先して、顧客に金融商品を提案するケースが考えられます。
一方で、IFAは特定の証券会社や登録金融機関(銀行等)に属さないため、営業ノルマがなく、販売会社都合の営業をされることもありません。
IFAからは、無理な営業をされないので安心です。
顧客目線で幅広い金融商品の中から条件・目的に最も適した金融商品を提案できます。
IFAの外務員資格の種類や、業務委託契約を交わす証券会社や登録金融機関(銀行等)によって扱える金融商品に多少違いは生じますが、顧客に応じて投資信託・各種債券などの提案も可能です。
また他に保有する資格や兼業する業務によっては、不動産投資や住宅ローンなどのアドバイス・提案が出来るIFAもいます。
5. 専門家のアドバイスが受けられる
個人で投資信託を始めようとしても、知識と経験がないと失敗しやすい傾向にあります。
投資信託について勉強して知識を広げるには、膨大な時間を要します。
また、勉強して実際に投資を行ってみても、思わぬ失敗に繋がるおそれがあります。
勉強しすぎると頭でっかちになりやすく、なんでもかんでも学んだルールに当てはめようとすることも失敗の原因のひとつです。
本や講師が絶対とは限りません。
金融市場は予想外の展開を起こす可能性があり、実際に投資して経験が身につくまでには時間がかかります。
付け焼き刃では投資のセンスは身に着けられないでしょう。
IFAには証券会社出身者も多く、株式市場に関する専門的な知識だけでなく経験をもとに商品の選び方、投資計画などについてサポートを受けられます。
IFAからリアルな相場観や投資判断、ポートフォリオの選択のアドバイスを仰げることもメリットです。
IFAの将来性
残念なことに
- IFA
- 独立系ファイナンシャルアドバイザー
のどちらも、まだまだ一般の方には聞きなじみがありません。
しかしながら、IFAの人数も、利用したい顧客数も今後拡大すると予測されています。
需要と供給の両者が高まっていることから、近い将来には日本も欧米諸国のように、IFAという言葉も一般化し、若い世代からシニア世代まで誰もが気軽にIFAに資産運用の相談をすると考えられます。
日本のIFAは増加傾向
証券会社や銀行などから独立してIFAへ転職する人の増加に加え、保険代理店や税務士・会計士事務所等と兼業する人が増えているため、2010年よりIFAは増加傾向にあります。
日本証券業協会「金融商品仲介業者の登録外務員数の推移」(*1)でIFAの人数を算出しています。
2017年に3,123人だった金融商品仲介業者は、2018年には3,455人と増加しました。
以降、1年毎に約10%ずつ、つまり300人を超える登録者を重ねつづけています。
今の伸び率が維持されれば、今後もお金の相談サービスを提供する人口は増え続けることが予想されるでしょう。
*1引用元:日本証券業協会「金融商品仲介業者の登録外務員数の推移」
金融庁も金融サービス提供の担い手として期待している
金融庁は個人の資産を貯蓄(預貯金)ではなく、投資信託等で資産形成することを推進しています。
そのために、幅広い世代に金融リテラシーの向上を求めています。
NISAやiDeCoのような節税が見込める投資サービスは、まさに国が資産運用を推進する典型例です。
ひと昔前は、銀行に預けていれば、利息がつき将来が約束されるような時代でした。
しかし、今では銀行に預けてもお金はほとんど増えません。
老後資金に2,000万円が必要
と言う話題もありましたが、年金だけでは、老後生きていく資金をとてもまかないきれません。
だからこそ、国民一人ひとりが自分の責任で資産を形成していくことが求められるのです。
しかし、金融リテラシーの向上といっても、義務教育において金融リテラシーを学ぶ授業はほとんどなかったこともあり、詳しい人が少ないのが現状です。
よって、顧客の目的や状況に合わせて投資信託などきめ細かいアドバイスができるIFAに、注目が集まっています。
IFAの選び方
IFAと一口に言っても、それぞれが独立している業種なだけあって、実は多種多様なタイプが存在します。
IFAに資産運用を相談したい
と思ったら、資産運用の目的や、不安点、どんな金融商品に関心があるのか等をリストアップしましょう。
そして、自分にとって資産運用の不安を最も効率的に解決してくれるIFAを選ぶことがキーポイントです。
下記で、詳しい選び方を説明します。
自分にぴったりなIFAに出会えるよう、事前に知識を入れておきましょう。
投資目的に合わせて選ぶ
投資の目的が、
リスクを取ってでも、リターンを最大化したいのか?
それとも
リスクはできるだけ少なく抑えながら、バランスの取れた運用をしたいのか?
によって、選択すべきIFAのスタイルは変わってきます。
前者の場合はリターン追求重視型のIFAが適しています。
短期間での目標達成に照準を合わせた投資スタイルです。
リターン追求重視型のIFAは、たとえばFXや株式投資の短期売買、なかには仮想通貨に長けたIFAが該当します。
また、後者の場合はリスク管理重視型のIFAが適しています。
長期間で徐々に目標値の達成を目指す投資となるスタイルを取っています。
リスク管理重視型のIFAは、積立投資や分散投資・配当重視の株式投資に精通しているIFAが該当するでしょう。
IFAへ相談する前に、自身の性格や、今までの投資スタイル・目標値達成の基準などから、適したスタイルを持つIFAを選びましょう。
専門分野で選ぶ
IFAといってもほとんどの場合、証券業務を専業として活動しているわけではありません。
IFAは、証券業務以外にも、たとえば保険代理店や、税理士・会計士事務所・ファイナンシャルプランナー(FP)などを兼業しているケースもあります。
IFAは各人が複数の分野を兼業することで、個人のオリジナリティーやブランディングを高めています。
ほかにも不動産や、相続・事業承継など投資以外の専門分野を得意とするIFAもいます。
投資は投資でも、不動産投資と分散投資をしたいならば、不動産業と兼業するIFAに相談すればより深いアドバイスが受けられるかもしれません。
投資以外にアドバイスを受けたい資産がある場合も、目的に応じたIFAを選びましょう。
まとめ
IFAが投資の相談にも乗れることを本記事では、解説しました。
IFAは顧客目線でアドバイスをくれる存在です。
独立しているからこそ、どこの金融機関にも属さない中立的な立場で、あなたの人生に合った投資計画の提案をすることができます。
投資に詳しくない方でも安心して相談できる存在としても、IFAは力を発揮することでしょう。
自分で投資について調べてもなかなか難しくて、わからない
など、資産運用のことで困ったら、一度IFAに相談することをおすすめします。