投資信託は、個別株などへの投資と比べると、ローリスクな金融商品のひとつといわれています。
しかしながら、それでも失敗のリスクはゼロではありません。
リスクを回避するには、失敗してしまう特徴の把握が必要です。
この記事では、投資信託で失敗する人の特徴とその対策をご紹介します。
投資信託の運用が不安でなかなか踏み出せない方は、ぜひ参考にしてください。
投資信託で失敗する人の5つの特徴
どのような人が、投資信託で成果を得られないのでしょうか?
さっそく投資信託で失敗する人の特徴を見ていきましょう。
1. 分配金の有無だけで銘柄を選んでいる
投資信託は、分配金が出る銘柄と出ない銘柄の2種類に分かれます。
ですが、出る銘柄であるという理由だけで選ぶと失敗するおそれがあるので注意しましょう。
なぜなら運用が順調に推移した場合、分配金が出る銘柄は、運用効率の面では出ない銘柄に劣る可能性がある からです。
分配金が「出る」銘柄
分配金が出る銘柄の運用利益は、現金で受け取ることができます。
見たところ、いい印象を与えるかもしれませんね。
しかし、分配金の支払いは、投資信託の資産のなかから行われます。
それは分配金の支払い=運用資金の減少を意味するのです。
分配金が「出ない」銘柄
出ない銘柄は、運用利益を再投資に回しており、運用が順調であるかぎりにおいて運用資金の減少はおきません。
同様に運用が順調である限りにおいては、複利効果(利益が利益を生む仕組み)も期待でき、投資信託で中長期的な資産形成を図るには出ない銘柄を選ぶことを検討してみてください。
なお、分配金が出る銘柄は運用状況が思わしくないと、分配金が支払われないこともあります。
2. 手数料を把握していない
投資信託には手数料がかかり、どのくらいかかるか把握せず高い銘柄に投資していると、運用効率が悪くなり思うような成果を得られないことがあります。
投資信託を保有するには、
- 購入時手数料
- 信託報酬
- 信託財産留保額
の3つがかかりますが、特に注意したいのは信託報酬です。
信託報酬は、投資信託の保有中は毎日発生し、運用成績に影響しやすいと考えられます。
さらに、運用スタイルがインデックス型とアクティブ型のどちらになるかで、信託報酬の傾向が異なる点も把握しておきたいところです。
インデックス型は株価指数といった、特定の指数との連動を目指して運用されるタイプで、信託報酬はアクティブ型より安い傾向にあります。
対してアクティブ型は特定の指数や、市場全体の動きを上回る成果を目指して運用するタイプです。
独自の戦略に基づいた銘柄選定などに手間がかかるため、信託報酬はインデックス型より高い傾向にあります。
この点も踏まえながら、手数料がどの程度かかるのか把握しておくことが重要です。
3. 生活費を投資に充てている
生活費まで投資に充ててしまうと、余裕がなくなって判断力が鈍り、失敗のリスクが高くなります。
投資はあくまでも、余裕資金で取り組むことが重要です。
損失が出ると損失分を取り返したい気持ちが出てしまいますが、冷静な判断ができないと結果的に損失が大きくなる危険性があります。
平常心を保って取り組むためにも、生活費と投資資金は分けて考えた方が良いでしょう。
4. 短期的な値上がりばかり期待している
投資信託は長期投資向きの金融商品なので、短期的な値上がり益ばかりを狙っていると、成果を得られず失敗するかもしれません。
投資信託はひとつの銘柄に、株式や債券など複数の資産が組み入れられているため、その中のどれかひとつだけ が値上がりしても、投資信託自体の価値はそれほど上がりません。
従って、短期的に利益を出すのは難しいといわれています。
多額の投資資金があれば、小さな値動きでも利益を出しやすいかもしれませんが、ほとんどの人には難しいでしょう。
加えて短期で結果を出すには、知識や経験が必要ともいわれているので、投資初心者であれば特に難しいと考えられます。
また、一般的に短期的な値上がり益を狙ってリスクを取り過ぎると、失敗しやすくなる点も覚えておきたいポイントです。
5. 分散投資していない
1銘柄のみに投資していると十分なリスク分散ができずに、失敗する恐れが高くなると考えられます。
前の項目で少し触れていますが、投資信託は複数資産で構成されているので、1銘柄のみでも一定の分散投資は可能です。
しかし、構成資産が同じ国や地域のものだったり、同じ値動きをする傾向にあるものだったりすると、分散投資の効果は低くなると考えられます。
複数銘柄に分散投資していない場合、基準価額(投資信託の値段)が下がるとすぐに損失を抱えてしまいます。
一度下がった基準価額が再び上がるとは限らないので、分散投資は特に重要な要素といえるでしょう。
投資信託で失敗しやすい5つのリスク
投資信託は元本保証(投資した金額が戻ってくること)のない金融商品なので、誰しも失敗するリスクはあります。
しかし、考えられるリスクを理解すれば、対策を立てやすくもなります。
ここからは、投資信託の5つのリスクを見ていきましょう。
1. 価格変動リスク
価格変動リスクとは、投資信託が投資している資産(株式や債券など)の価格が変動するリスクのことです。
これにより基準価額も値上がり・値下がりの可能性があり、一般的に企業の業績や国内外の経済情勢などの影響によって起こるといわれています。
また、期待される利回りが大きいとされる資産の場合は価格変動リスクも大きくなり、期待される利回りが小さいとされる資産は、価格変動リスクも小さくなる傾向があるとされています。
価格変動リスクを抑えるには、分散投資を活用することが効果的です。
分散投資は、異なる動きをする資産を組み合わせることで、一方向に価格が動くのを抑える効果が期待できます。
分散投資については、記事後半で詳しく解説します。
2. 為替変動リスク
為替変動リスクは、円と外貨による為替レートの変動により、外貨建て資産(外貨で価格が表示される資産)を円換算したときの価値が変動するリスクのことです。
外国資産に投資している投資信託は、基本的に外貨建てで運用されるので、為替変動リスクに注意しなければなりません。
一般的に、外国資産に投資している投資信託を購入してから円高が進めば基準価額は値下がりするおそれがあり、円安が進めば基準価額は値上がりする可能性があります。
この場合、円安になれば基準価額の値上がりで利益が発生し、円高になれば基準価額の値下がりで損失を抱えると考えられます。
円高と円安のかんたんな例(1ドル=100円の場合)
- 1ドル=90円になると円高
- 1ドル=110円になると円安
為替変動リスクを抑えるには、複数の投資信託で投資先通貨を分散させたり、為替ヘッジありの銘柄を購入するなどの方法があります。
為替ヘッジとは、将来の為替取引における為替レートを1ドル=◯◯円と、あらかじめ約束する為替予約取引などを活用ものすることです。
これにより、為替レートの影響を少なくする効果が期待できます。
ただし、為替ヘッジは手数料がかかる場合があります。
また、円安になったときの基準価額の値上がり益も得られなくなる可能性があります。
3. 金利変動リスク
金利変動リスクは、金利動向が債券価格に影響するリスクのことです。
一般的に市場金利が上がれば債券価格は下がり、市場金利が下がれば債券価格は上がるといわれています。
これに合わせて、価格の下がった債券に投資している投資信託の基準価額は値下がりし、価格の上がった債券に投資している投資信託の基準価額は値上がりすると考えられます。
金利変動リスクは抑えるには、比較的満期までの期間が短い債券に投資をする投資信託を活用することがひとつの対策として考えられます。
一般的に、満期までの期間が長い債券ほど金利変動リスクが大きいとされています。
そのため、債券に投資する投資信託の中から選択するのであれば、短期の債券の投資比率が大きい投資信託の方が、金利変動リスクが小さいといえます。
また、債券以外の資産に投資する投資信託を利用することも考えられます。
例えば、株式に投資する銘柄や、不動産投資信託(REIT)に投資する銘柄を利用することで金利による債券の価格変動リスクを抑えるといったイメージです。
投資する資産の種類が増えれば、債券の価格が下がっても、それ以外の資産の運用で値下がり分をカバーできる可能性があります。
ただ、金利の変動は経済や景気に大きな変化をもたらすものであり、株式やREITの相場にも多くの影響を与えることも忘れてはいけません。
4. 信用リスク
信用リスクは株式や債券などの発行体が、倒産や経営状況悪化などの理由で、資産の価値が減ったりなくなったりするリスクのことです。
これにより、株式や債券が値下がりすれば、基準価額も値下がりするおそれがあります。
5. カントリーリスク
カントリーリスクは投資している国や地域で、政治・経済状況の変化によって資産の価値が変動するリスクのことです。
資産の価値が変動すれば、それらに投資する投資信託の基準価額も変動する懸念があります。
一般的にアフリカや中南米、中東の新興国などは、カントリーリスクが高いといわれていますが、それ以外の国や地域でも注意する必要があると考えられます。
その理由として、経済大国といわれるアメリカの投資銀行リーマン・ブラザーズの破綻が、世界的経済危機を引き起こした例もあるからです。
カントリーリスクを抑えるには、一例として日本・米国・欧州といった具合に複数の地域を組み合わせるのが良いと考えられます。
このように投資地域を分散させれば、ひとつの国や地域から受ける影響を少なくできる可能性があります。
投資信託で失敗しないための6つの対策
ここまで失敗する人の特徴や、リスクを見てきましたが、失敗を避けるには具体的にどうすれば良いのでしょうか?
最後は、投資信託で失敗しないための方法をご紹介します。
1. 運用目標を明確にする
運用目標が決まっていない場合は、まず何のために投資信託を利用するのかを明確にしましょう。
運用目標がはっきりしていないと、投資スタイルに統一性がなくなり、その都度方向性も変わって大きなリスクを取ってしまいがちです。
しかし、10年後までに500万円貯めるのように運用目標が明確になっていれば、投資に必要な金額や運用期間がわかり、投資銘柄も決めやすくなると考えられます。
2. 手数料を比較する
失敗しないためには、手数料の比較も重要な要素といえます。
手数料負担を抑えられれば、運用効率が良くなる可能性が高まるからです。
投資信託の手数料は銘柄によって異なるため、交付目論見書や証券会社のHPなどで確認しましょう。
マネカレの運営会社であるPWM日本証券のホームページでもチェックできるので、手数料を調べたい場合はぜひアクセスしてみてください。
ただし、手数料のみで銘柄を選ぶのは避けた方が良いでしょう。
手数料の安い銘柄の運用成績が良いとは限らず、反対に手数料が高くても運用成績が良い銘柄もあります。
もし手数料で比較する場合は、過去の運用実績や商品内容などが、ある程度似たものであることが条件です。
その場合は、手数料が安い銘柄の方が良いと考えられます。
また、投資信託を購入するときにかかる購入時手数料は、上限のみが決められているので、販売会社(証券会社や銀行など)によって異なるケースがあります。
手数料を調べる際は、この点にも注意してください。
3. 長期投資する
短期投資は一時的な値動きに左右されやすいので、失敗しないためには長期投資の方が良いと考えられます。
一般的に、金融商品の変動リスクは短期間では大きく、長期間であるほど小さくなると言われており、長期投資は短期投資より失敗しにくいといわれています。
また、短期投資は売買するたびに、購入時手数料や信託財産留保額(解約に必要な手数料)がかかる可能性がありますが、長期投資ではそれらの負担が必然的に少なくなることもメリットです。
手数料負担が少なく済めば、その分の資金は運用に回せます。
長期投資の期間についての明確な基準はありませんが、少なくとも数年単位、できれば10年以上で取り組むのが良いと考えられます。
4. 積立投資する
積立投資は、決められたタイミングと一定額で、同じ銘柄を購入し続ける方法です。
相場とは関係なく購入し続けるため、売買の判断で失敗せずに済みます。
最初に投資銘柄を選び、購入タイミングと金額を指定すれば継続的に購入されるので、長期投資しやすい方法でもあります。
また、積立投資は購入タイミングの基準価額に関わらず購入金額が変わりません。
そのため、基準価額が安いときは購入量が多く、基準価額が高いときは購入量が少なくなり、購入単価が平準化されるメリットがあります。
5. 分散投資する
複数銘柄に投資して分散投資の効果を高めることも、失敗しないために必要な要素と考えられます。
分散投資する際は投資資産や地域を分けるのもポイントです。
たとえば、これまで国内株式を対象とした投資信託のみを保有しているのであれば、今後は米国株式が投資対象となっている銘柄や、債券に投資する銘柄を選ぶのも手段のひとつとなります。
さまざまな種類の資産が組み入れられた、バランス型を選ぶのも良いかもしれません。
このように複数銘柄に分散投資すれば、1銘柄のみに投資するよりも失敗のリスクを抑えられます。
6. 信頼できるアドバイザーを見つけるIFAにサポートしてもらう
失敗しないためには、自分ひとりで考えるだけでなく、信頼できるアドバイザーを見つけることも重要です。
たとえば、投資のプロであるIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)に相談するのもおすすめです。
IFAは金融機関に所属せずに活動しているので、中立の立場から運用方法や銘柄選びなどをアドバイスしてくれます。
金融機関の担当者の場合、ノルマをこなすためのアドバイスや商品提案となるケースも否めないですが、IFAはそのような心配はありません。
運用計画を立てるのが得意なIFAも在籍していることもあり、ひとりで運用目標を明確にできない場合もサポートしてもらえます。
投資信託で失敗しないためには
今回は、投資信託で失敗する人の特徴や、失敗しないための方法をご紹介しました。
投資信託で失敗しないためには、運用目標の明確化や、長期・分散・積立 投資などがポイントです。
失敗するのが怖くて二の足を踏んでいる方は、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)に相談すれば、考えられるリスクの説明やリスクを低減するためのアドバイスも行ってくれます。
できるだけ失敗する確率を下げたい!
と思っている方は、ぜひIFAを利用してみてはいかがでしょうか?