3種類のNISAの特徴・注意点を見てみよう | マネカレ

3種類のNISAの特徴・注意点を見てみよう

将来を安心して過ごすために、NISAを利用して資産運用を始めようとお考えの方は多いのではないでしょうか。
NISAとは一言でいうと投資で得られる利益に税金がかからない制度です。
しかし、NISAと名前が付く制度は3種類あるのをご存知でしょうか?
年間で利用できる非課税投資枠や税金がかからない非課税期間は異なるため、内容を把握したうえで選ぶことがポイントです。

そこで今回は、3種類のNISAの特徴を詳しく解説します。
また、金融庁の資料をもとにNISAの種類ごとの利用状況や、口座開設の目的もご紹介します。
NISAで効率的な資産運用を始めたい方は、この記事で違いをしっかり把握していきましょう。

新NISAの情報について
NISA関連の情報については、各種法制度の改正などに基づいて変更されます。
今後の動向によって、情報発信・更新を随時行う予定ですので、引き続きマネカレをご利用ください。
最新情報などをはじめとしたご質問については、マネカレのお問合せフォームまたはPWM日本証券 (運営会社)で受付中です。

 

NISAとは

NISAは、個人投資家向けの税制優遇制度です。
NISA口座を開設後、決められた金額内で金融商品を購入すれば、売却時に利益が発生しても利益に税金がかかりません。
配当を受け取った場合も同様です。

NISAで金融商品を購入できる金額は決まっており、これを非課税投資枠といいます。
非課税投資枠で購入した金融商品から得られる投資利益に税金がかからない非課税期間は、NISAの種類ごとに異なります。

また、非課税期間が過ぎて売却利益を得たり配当を受け取ったりすると、約20%の税金がかかります。

しかし、ロールオーバーという仕組みを利用すれば、非課税期間は延長することが可能です。
ロールオーバーは、NISA口座で保有中の金融商品を、新たに開設するNISA口座の非課税投資枠に移せる仕組みです。

ロールオーバーすると、非課税期間は5年間延長できます。

NISAは3種類ある

NISAは、

  1. NISA (一般NISA)
  2. つみたてNISA
  3. ジュニアNISA

の3つに分けられます。
非課税投資枠や非課税期間など、種類ごとにさまざまな違いがあるため、ここからは各NISAの特徴をご紹介します。

NISA (一般NISA) つみたてNISA ジュニアNISA
対象 日本在住の20歳以上の人 日本在住の0歳~19歳の人
非課税投資枠 年間120万円まで 年間40万円まで 年間80万円まで
非課税期間 最長5年間 最長20年間 最長5年間
投資できる期間 2014年~2023年 2018年~2037年 2016年~2023年
投資対象商品 国内・海外上場株式、株式投資信託、国内・海外REIT など 金融庁が定めた一定の基準をクリアした投資信託・ETF 国内・海外上場株式、株式投資信託、国内・海外REIT など
払い出し いつでもできる いつでもできる 原則18歳までできない
ロールオーバー できる できない できる
損益通算 できない できない できない
繰越控除 できない できない できない

NISA (一般NISA)の特徴

NISA (一般NISA)は、非課税投資枠が120万円に設定されています。
投資利益に税金がかからない非課税期間は最長5年間とされているため、最大600万円を非課税で運用できます。

3つのNISAのなかで非課税投資枠は最も多いため、まとまった資金をお持ちの方向けです。
国内・海外上場株式や株式投資信託など、投資対象商品の種類が多いことも特徴です。
(金融機関によって異なります)

また、ロールオーバーできるため、手続きすれば10年間、投資利益に税金がかかりません。
ただし、つみたてNISAとの併用はできないため、口座開設時にどちらか一方を選ぶ必要があります。

つみたてNISAの特徴

つみたてNISAは、名称が示すとおり積立投資専門の非課税制度です。
長期・積立・分散投資を目的としています。

非課税投資枠は年間40万円まで、非課税期間は最長20年間に設定されています。
長期の資産形成をサポートするため、非課税期間の長さがほかの種類とは大きく異なります。
非課税投資枠の総額は最大800万円です。

投資可能商品は金融庁が定めた一定の基準(手数料が低水準・分配金の支払いが頻繁ではない など)をクリアした約200銘柄の投資信託・ETFです。

非課税期間が最長20年間のため、新たな非課税枠に移すロールオーバーはできません。
NISA(一般NISA)とは併用できないことが注意点です。

ジュニアNISAの特徴

ジュニアNISAは、未成年者(0歳~19歳)を対象とした非課税制度です。
子どもや孫名義で口座開設し、運用は両親や祖父母(二親等以内の親族)が代行します。
子供の教育資金などを目的のために資産形成したい方におすすめです。

非課税投資枠は年間80万円が上限で、非課税期間は最長5年間です。
そのため、最大400万円の非課税投資が可能です。

NISA(一般NISA)と同様にロールオーバーできるため、非課税期間は実質10年間まで伸ばせます。

ただし、口座開設者が18歳になるまで払い出しができません。
もし払い出しをしてしまうと、過去の運用益に税金がかかり、ジュニアNISA口座は廃止されます。

NISAの注意点

つづいて、NISAを利用する前に把握しておきたい3つのポイントをご紹介します。

  1. 金融機関の変更は1年ごと
  2. 課税口座からは移管できない
  3. 非課税投資枠は繰り越せない

金融機関の変更は年単位で認められています。
しかし、NISA口座を開設して一度でも利用すると変更は翌年まで待たなければなりません。

口座開設している金融機関に投資したい商品がない。

と思っても簡単には変更できないため注意してください。

また、一般口座で保有している商品は、NISA口座へ移管できません。
一般口座にある金融商品をNISA口座でも保有したい場合は、NISA口座で新たに購入する必要があります。

そして、本年分の非課税投資枠の残額分は翌年に繰り越せません。
仮に一般NISA口座で非課税投資枠が20万円分残っても、翌年の非課税投資枠が120万円+20万円=140万円とはなりません。
NISAで資産運用を始める際は、以上に注意しましょう。

2024年からは新NISAがスタート

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(写真=bee PIXTA[ピクスタ])|210729-5

2014年1月からはじまったNISA制度。
現行のNISA制度の見直しにともない、2024年からは新NISA制度として新たにスタートすることになりました。

新NISAについては、こちらの記事で解説しています。
それぞれの制度の変更点をしっかりと覚えておきましょう。

NISAの種類別の利用状況

実際にNISA口座を開設している人は、どのくらいいるのでしょうか?
金融庁の資料をもとに、直近5年間に限定して口座数の推移を見てみましょう。

NISA (一般NISA) つみたてNISA ジュニアNISA
2016年 (平成28) 1,061万3,172 19万4,579
2017年 (平成29) 1,099万2,733 25万7,404
2018年 (平成30) 1,150万667 103万6,603 31万2,467
2019年 (令和元) 1,174万7,353 189万230 35万3,677
2020年 (令和2) 1,220万9,886 302万2,422 45万4,453

出典: NISA・ジュニアNISA利用状況調査|金融庁
※ つみたてNISAは2018年から導入

どの種類も利用者は年々増えているようです。
利用者が圧倒的に多いのはNISA(一般NISA)ですが、つみたてNISAも制度導入時と2020年を比較すると3倍ほどになっています。

2024年からの制度内容変更に伴い非課税期間は延長されるため、NISA利用者は今後も増え続けるものと予想されます。

NISA口座開設の目的

NISAは投資利益が非課税になる魅力的な制度ですが、口座開設した人たちはどんな目的で始めたのでしょうか?
金融庁が行ったアンケート調査によると、口座開設の目的の上位5つは以下のとおりです。

1位 金融機関の担当者に勧められたから 27.5%
2位 余剰資金運用のため 21.8%
3位 老後資金を蓄えるため 20.0%
4位 預貯金だけでは貯蓄として不十分だから 14.3%
5位 日々の生活の足しにするため 6.1%

出典: 国民のNISAの利用状況等に関するアンケート調査(2016年2月)|金融庁

注目したいのは老後資金を蓄えるため預貯金だけでは貯蓄として不十分だからの2つです。

老後資金を蓄えるためを世代別に見ると、40代から一気に増加し50代を境に徐々に減少しています。

「老後資金を蓄えるため」と回答した人の年代別割合

20代 2.4%
30代 7.7%
40代 16.9%
50代 25.4%
60代 22.8%
70代 22.7%

出典: 国民のNISAの利用状況等に関するアンケート調査(2016年2月)|金融庁

40代や50代はバリバリ働く現役世代ですが、老後がより現実味を帯びてくる年代です。
そこで資産運用に関心を持つようになり、NISA口座を開設する人が多くなっているものと考えられます。

また、預貯金だけでは貯蓄として不十分だからも世代別に見てみると、20代と30代が圧倒的に多いことがわかります。

「預貯金だけでは貯蓄として不十分だから」と回答した人の年代別割合

20代 22.0%
30代 23.2%
40代 11.8%
50代 16.5%
60代 11.6%
70代 13.0%

出典: 国民のNISAの利用状況等に関するアンケート調査(2016年2月)|金融庁

現在の日本の銀行は超低金利といわれることが多いため、利息収入はあまり期待できません。
しかし、20代や30代は結婚や出産、マイホーム購入など、お金の必要なライフイベントが発生しやすい年代です。
そこで限りある収入を効率的に増やそうと、資産運用に取り組む人が多いものと考えられます。

投資はハードルが高い?

金融庁のアンケート調査を見ると、投資未経験者とNISA口座開設者の投資へのイメージは、大きく異なることが特徴です。

投資は必要だと思うが、保有経験がない理由 (投資未経験者ベース)

1位 まとまった資金がないから 73.2%
2位 投資の知識がないから 47.1%
3位 投資は損をしそうで怖いから 37.8%

出典: 国民のNISAの利用状況等に関するアンケート調査 (2016年2月)|金融庁

NISA口座開設後の投資イメージの変化

(NISA口座開設によって投資へのイメージが変わった者ベース)

1位 投資は少額から始められることがわかった 49.1%
2位 長期投資や分散投資を意識するようになった 26.8%
3位 預貯金以外に投資での財産形成の必要性を感じるようになった 25.1%

出典:国民のNISAの利用状況等に関するアンケート調査(2016年2月)|金融庁

投資未経験者の多くは投資に対してまとまった資金が必要とイメージしていることがわかります。
しかし、NISA口座を開設した人の半数近くは、

少額から始められることがわかった

と投資へのイメージが変化しています。

これは投資への一般的なイメージが先行するあまり、資産運用するチャンスを逃しているといえるかもしれません。

つみたてNISAであれば、それほど多くの資金がなくても資産運用が可能です。
よりよい将来を実現するためにも、この機会にNISAを利用して資産運用を始めてみてはいかがでしょうか。

まとめ

3種類あるNISAは、非課税投資枠や非課税期間が異なることが特徴です。
また、2024年からは制度内容が変更されるため、何が変わるかしっかり把握しておくことが大切です。
とはいえ、投資初心者は一度でNISAの種類ごとの違いを理解しきれないこともあるでしょう。
そんなときは、投資のナビゲーターであるIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)に相談することをおすすめします。
IFAなら、初心者が理解しにくいNISAの違いや選び方も、わかりやくアドバイスしてくれます。
投資のことでお悩みなら、今すぐIFAに相談してみてください。

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この記事の監修者

 マネカレ編集部

マネカレ編集部による編集記事です。
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