家計がそこまで苦しいわけではない。
でも、節約したからといって、使えるお金がそこまで増えるわけでもない。
このように生活はできるものの、収入が増えないとお悩みのサラリーマンは、今すぐ資産運用をはじめてみましょう。
資産運用に取り組めば、今あるお金を2倍・3倍に増やすのも夢ではありません。
今回は、サラリーマンのための資産運用講座と題して、資産運用の必要性やおすすめの資産運用の方法などを紹介します。
サラリーマンに資産運用は必要か?
最初に、収入の面から見てサラリーマンは、資産運用に取り組んだ方が良いのかを考えてみます。
国税庁の令和2年分 民間給与実態統計調査から、過去10年分のサラリーマン(給与所得者)の平均給与を見てみましょう。
サラリーマンの平均給与 (平成23年~令和2年)
区分 平均給与 平成23年 409万円 平成24年 408万円 平成25年 413.6万円 平成26年 415万円 平成27年 420.4万円 平成28年 421.6万円 平成29年 432.2万円 平成30年 440.7万円 令和元年 436.4万円 令和2年 433.1万円
表を見てわかること
- 平均給与が400万円台のままで、大幅に増加していない。
- 減少傾向ではないものの、ほぼ横ばいの状態が続いている。
以上のことから、今後サラリーマンの給料がすぐに上昇するとは考えにくいでしょう。
より収入を増やしたい場合には、やはり資産運用をはじめた方が良いかもしれません。
サラリーマンの資産運用は副業にあたる?
資産運用が会社にバレたらどうしよう……。
と、不安になるサラリーマンもいらっしゃるかもしれません。
でも、ご安心ください。
資産運用は、基本的に副業扱いとはなりません。
厚生労働省の副業・兼業の促進に関するガイドラインにも、原則として「副業や兼業は認める方向で検討するのが適当」と記載されています。
副業禁止の会社が多いのも事実
しかし、就業規則で副業を禁止している会社が多いことも事実です。
それでも、資産運用に夢中になりすぎて、業務がおろそかになるようなことが無ければ減給などの処分が下されることはないでしょう。
ただ、副業扱いにならないからといっても 、株式投資に取り組む際は注意してください。
インサイダー取引に気を付けよう
会社の重要情報を見聞きできる立場のサラリーマンは、インサイダー取引規制の対象となる恐れがあります。
インサイダー取引とは、上場企業の会社関係者などが、株価に影響を与えるような重要事実が公表される前に、自社株などを売買することです。
インサイダー取引は、金融商品取引法で禁止されているため、絶対にやめましょう。
確定申告は必要?
サラリーマンは、毎月の給料から所得税が天引きされており、会社が代わりに申告と納税をしてくれるため基本的に確定申告が不要です。
しかし、資産運用で得た利益は課税対象となり、金額が20万円超ならサラリーマンも確定申告が必要になります。
確定申告が必要な場合は自分で申告書を作成して、税務署に提出・納税しなければなりません。
確定申告の期間
2月16日~3月15日(例年)
確定申告が不要なケースもある
金融機関に証券口座を開設して資産運用に取り組んでいるサラリーマンは、確定申告が不要なこともあります。
具体的には株式投資や投資信託などで、資産運用しているケースです。
これらは、以下のように利用している口座の種類によって、確定申告の有無が異なります。
口座の種類と確定申告の必要・不要
特定口座(源泉徴収あり)
不要
特定口座(源泉徴収なし)
必要
特定口座(源泉徴収あり)では源泉徴収されるので、確定申告が不要です。
この場合の源泉徴収とは、金融機関があらかじめ運用による利益から税金を差し引くものです。
また、特定口座(源泉徴収なし)と一般口座は確定申告が必要な種類ですが、株式の配当金と投資信託の分配金のみを受け取った場合は、原則として不要になります。
どちらも源泉徴収されるためです。
サラリーマンにおすすめの5つの資産運用
ここからは、日中は仕事で忙しいサラリーマンでも、手軽に取り組める資産運用の方法を5つ紹介します。
- 株式投資
- 投資信託
- 不動産投資
- REIT(不動産投資信託)
- REITファンド
1. 株式投資
株式投資は株式会社が発行した株式を購入し、売却益や配当金によって資産運用するものです。
銘柄によっては企業が株主に対して自社製品や、サービスを贈る株主優待を受けられます。
ただし、日本の主要な証券取引所である、東京証券取引所の取引時間は決まっています。
東京証券取引所の営業時間
- 9:00~11:30
- 12:30~15:00
このように定められているため、日中に仕事をする場合が多いサラリーマンにとっては、スピーディーな売買を行いにくいデメリットがあります。
基本的には、配当金をメインの目的として利用するのが良いかもしれません。
自社株の購入はインサイダーに注意!
自社株の購入をする場合でも、未公表である重要事実を知らなければインサイダー取引規制の対象となりません。
ただ、抵触するかどうかが心配な方は、購入を避けるのが無難でしょう。
2. 投資信託
投資信託は、販売会社(証券会社や銀行など)が投資家からお金を集め、それらを金融の専門家が選定した資産に投資して運用する金融商品です。
投資信託に含まれる資産は、株式や債券など銘柄によってさまざま。
投資した人は、売却益と分配金をおもな利益として得ることができます。
ハードルが低くはじめられる
金融の専門家が資産の選定から運用までしてくれるため、資産運用に時間を割きにくいサラリーマンも利用しやすい金融商品といえます。
1万円程度からはじめられる点も、投資信託の魅力です。
インサイダー取引とならない投資信託
なお、投資信託の場合は、自社株投信のような株式投資信託以外は、自社株が投資対象に含まれている銘柄を購入しても、インサイダー取引規制には該当しません。
3. 不動産投資
不動産投資は現物の不動産を購入し、それを第三者に貸し出した賃料収入によって資産運用するものです。
建物の売買によって、売却益を得られるケースもあります。
入居者は年単位で部屋を借りることが多いため、安定して長期間収入を得たいサラリーマンには魅力的な選択肢のひとつになるでしょう。
不動産ローンで少額からはじめられる
不動産を一括購入する場合は、まとまった資金が必要となるのが一般的。
不動産ローンを利用することで、比較的少額からはじめることができます。
不動産投資のデメリット
空室リスク
ただし、空室が出た場合は家賃収入を得ることはできません。
さらに建物の老朽化による修繕費用なども発生するうえに、ローンを借りている場合はその間も返済し続ける必要があります。
流動性が低い
それに加えて、不動産自体は流動性が低い傾向にあります。
希望したタイミングで売却できない可能性 があるので注意しましょう。
4. REIT(不動産投資信託)
REIT(不動産投資信託)は、複数の不動産を投資対象とする投資信託です。
10万円前後から投資できるため、
- まとまった資金がない
- ローンを組みたくない
- 組めそうもないサラリーマン
でも、不動産投資に取り組みやすい方法です。
証券取引所に上場されているので、株式のように取引できます。
REITの2つの魅力
REITは、こちらの2点が魅力です。
- 利益のほとんどが投資家に分配されること
- 直接的には 建物の維持管理費用が発生しないこと
倒産リスク
ただしREITは、投資法人によって運営されているので倒産リスクがあります。
倒産によって上場が廃止されれば、取引自体ができなくなる状況も想定しなければなりません。
「J-REIT」はインサイダー取引規制の対象
ちなみに、日本で組成されたREITはJ-REITと呼ばれます。
5. REITファンド
REITファンドは、REIT(不動産投資信託)を投資対象としている投資信託。
1万円程度からの予算ではじめられるため、REITよりもリーズナブルです。
お小遣いの一部でスタートできるサラリーマンも多いのではないでしょうか?
REITファンドは、1銘柄で複数のREITに投資するのが特徴。
REITよりも、さらに高い分散投資効果が期待できます。
海外REITに投資できるREITファンド
REITファンドのなかには、海外REITに投資できるものもあります。
ただ、為替相場の影響による損失リスクがあるので気を付けましょう。
サラリーマンが資産運用のリスクを抑える3つのコツ
どの方法を選ぶにしても、資産運用に取り組む際はある程度のリスクを受け入れる必要があります。
とはいえ、できるだけリスクを抑えておきたいのが正直なところ。
そこで、サラリーマンでも実践しやすい、資産運用のリスクを抑えるコツを3つお伝えします。
- 長期投資
- 時間分散(積立投資)
- 分散投資
1. 長期投資
長期投資は、短期投資に比べて成績の良い時と悪い時がならされて、1年あたりの平均的な収益の振れ幅が、小さくなる傾向にあるといわれています。
その一方で短期投資は、その時々の相場や出来事 に影響されて損失を出す恐れが高く、初心者が利益を出し続けるのは難しいとの捉え方が一般的です。
相場のこまめなチェックも必要になるので、本業があるサラリーマンは取り組むのがそもそも困難でしょう。
また、長期投資をすることで、次に説明する時間分散(積立投資)のメリットを最大限に活用することが可能です。
長期投資のメリット
複利効果を活かしやすい
複利効果を活かしやすいのも、長期投資の魅力です。
複利とは
複利とは、運用によって出た利益を、さらに元本に加えること。
これによって、利益から利益を生み出すシステムを構築することができます。
運用実績が良いかぎりは、運用を続けるほど元本が雪だるま式に増えていく状態となるため、長期投資との相性がバツグンです。
時間分散 (積立投資)
時間分散とは
時間分散は、金融商品を複数回に分けて購入するもの。
積立投資もそのひとつです。
「高値掴み」のリスクを軽減しやすい
一括購入では、高値掴み(相場の高いところで購入して、その後値下がりする状態)となってしまうケースがあります。
時間分散の考え方によって、それらのリスクを軽減できる可能性があるのです。
価格が変動する金融商品を、決まったタイミングと定額で購入し続けると、
- 値段が高いときは少量
- 値段が安いときは大量
に手に入れられます。
このような仕組みが、結果的に平均購入単価を平準化してくれるため、極端な高値掴みを防止できるといわれているのです。
自動購入できる
また積立投資は、はじめに銘柄や積立金額を設定するだけで、あとは自動的に購入してくれるのも特徴。
これなら、本業が忙しいサラリーマンも、楽に資産運用を続けられますよね。
毎回、購入タイミングに悩む必要もないので、投資に慣れていないサラリーマンにはとくに 向いている方法だと考えられます。
分散投資
異なる資産への分散投資は、価格変動リスクを抑えられるといわれています。
投資対象をひとつに絞ってしまうと、その投資対象が値下がりした場合の影響をすべて受けてしまいます。
分散投資を前提に取り組んでいれば、資産全体に及ぼす影響を軽くできる可能性があるのです。
分散投資のポイント
分散投資する際は、国や地域・商品の種類を分けるのがポイントです。
投資先を日本・米国・欧州などと分ければ、特定の国や地域に依存せずに済みます。
商品を組み合わせる際は、株式と債券のように、値動きが異なる種類を選ぶのが重要です。
これは、保有資産全体が度に値下がりする確率を低くできるためです。
分散投資は「投資信託」がお手軽
とはいえ、サラリーマンがあれこれ自分で考えて、分散投資に取り組むのは手間がかかります。
お手軽に分散投資を実現させるには、投資信託がおすすめです。
投資信託は、最初から複数の資産が組み入れられているので、分散投資効果を得やすい金融商品とされています。
資産運用をはじめるサラリーマンの方へ
今回は、サラリーマンにとっての資産運用の必要性や、おすすめの資産運用の方法などを紹介しました。
資産運用は継続がポイント
資産運用で成果を挙げるには、継続がポイントのひとつです。
しかし、サラリーマンが仕事をしながら、資産運用を続けるのは容易ではありません。
本業が忙しければ、途中で止めてしまう人もいるでしょう。
サラリーマンこそIFAを活用しよう
そこでおすすめなのが、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)の利用です。
資産運用のプロであるIFAは、本業が忙しいサラリーマンが継続できるよう、的確にサポートしてくれます。
多忙な中でも資産運用に取り組みたいサラリーマンは、ぜひ一度IFAに相談してみてください。