REITのメリット・デメリット・始め方をかんたんに解説!|マネカレ

REITのメリット・デメリット・始め方をかんたんに解説!

みなさんは不動産投資と聞くと、どんなイメージをするでしょうか?
もしかしたら、大金持ちの人がやっているものといった連想をする方が多いかもしれません。

そこで、多くの投資資金がない人でも、リーズナブルに不動産投資をはじめられるのがREIT。
今回は、そんなREITがどんな投資方法なのかを、わかりやすく解説します。

そもそもREITって、どんなものなの?

と、ご興味をお持ちの方はぜひご覧くださいね。

REIT(リート)とは「不動産投資信託」のこと

REITとは、不動産投資信託のこと。

さまざまな投資家から集めたお金で不動産を購入して、家賃収入や不動産売却によって生まれた利益を、投資家にそれぞれ山分けする金融商品です。

REITの歴史

1960年にアメリカで生まれたREIT。
日本では、2000年から投資することができるようになりました。

日本の名称は「J-REIT」

日本国内で組まれたREITはJ-REITと呼ばれます。
2022年現在のファンド数は、61銘柄です。
(2022年3月11日時点)

REITのしくみ

REITのなかには、マンション・オフィスビル・商業施設などのさまざまな不動産が、投資対象として含まれています。
投資家は、1つのファンドを購入するだけで、それらの物件のオーナーのひとりになれます。

REITで得られる利益

REITのおもな利益は、売却益と分配金です。

REIT(不動産投資信託)の5つのメリット

REITにはどのようなメリットがあるのでしょうか?
REITのメリットと考えられるのは、つぎの5つです。

1. 不動産投資よりもハードルが低い

現物での不動産投資をはじめるためには、多額の資金が必要です。
REITなら、10万円前後からのリーズナブルな資金ではじめることができます。

現物の不動産への投資で、金融機関から融資を受ける場合には、物件価格の2~3割分を、自己資金(頭金)として用意しなければならないとされるのが一般的。

もし、5,000万円の不動産を購入するとすれば、1,000万円~1,500万円が自己資金(頭金)として必要となってしまう計算です。
J-REITでは、10万円以下の資金で購入できるファンドも、いくつか見られます。(2022年4月1日時点)
不動産を直接現物投資するよりも、かなりハードルが低いことが分かりますね。

2. 高い分配金に期待できる

決算期を迎えると、高い分配金をREITで受け取れるかもしれません。

分配金は、REITの運用で得た利益のなかから支払われます。
株式投資でいえば、配当金にあたるものです。

利益のほとんどが分配される

REITの分配金が、株式投資の配当金と異なるポイントは、運用での利益のほとんどが山分けされること。
いくつかの条件(例: 利益の90%超を投資家に分配する)を満たすことで、法人税が実質免除されることが理由です。
これにより、高い分配金に期待ができるというわけです。

メインの利益は家賃収入

REITの運用利益のもとは、不動産からの家賃収入。
短期間で家賃が大きく変わることは少ないため、安定した利益を生みやすいのも魅力ですね。

3. リスク分散できる可能性がある

REITは、さまざまな不動産を投資対象として組み込んでいます。
それによって、リスク分散の効果が期待できるのもメリットです。

投資先が集中しやすい「不動産投資」

現物の不動産で分散投資をしようとすると、多額の資金が必要となります。
そのために、たくさんの資金がなければ、1つの不動産に集中した投資となりやすく、不測の事態がおきた場合のリスクが高くなる傾向があるのです。

1ファンドだけでもリスク分散できる

REITならば、1ファンドの購入のみで分散投資の効果が見込めます。
そのために、少ない手間でリスクが抑えることができやすいのです。

4. 専門家が運用する

REITの運用は、不動産の専門家が代行してくれます。
そのために、投資家にはほとんど労力がかかりません。

不動産投資はハードルが高い

現物の不動産投資で成果をだすためには、不動産の専門知識や経験が求められます。
運用対象となる物件も、投資家が自分で選定しなければいけません。

そのために、投資初心者にとってはハードルが高い商品と考えられます。

REITはすべて代行できる

REITは、不動産の専門家が物件の調査や選定・投資判断・売買などのすべてを代行してくれます。
投資初心者にとっては、ハードルが低い商品かもしれませんね。

運用の透明性もメリット

また、各REITのホームページには、決算短信や有価証券報告書などの情報が掲載されています。
運用状況も随時チェックできるので、透明性の高さもメリットとなるでしょう。

5. 証券会社を通じて売買可能

一般的な投資信託と異なり、証券取引所に上場しているのがREIT。
取引時間内ならば、株式と同じようにいつでも売買できます。

不動産の売却の手続きはたいへん

現物の不動産の売却では、不動産会社による物件の査定・不動産会社との媒介契約・売買契約・引き渡しなどのように、いくつもの工程が発生します。

それに加えて、現物での不動産投資はそれほど流動性が高くありません。
売却したいタイミングで、取引が成立するともかぎらないのです。

REITは換金しやすい

その点では、REITは株式のように売買ができるために、換金しやすいです。
現物の不動産投資よりも、「はじめやすく/やめやすい」と言いかえられるでしょう。

REIT(不動産投資信託)の6つのデメリット/リスク

下落中の不動産

REITには、現物の不動産投資にはないデメリットや、特有のリスクも存在します。
次は、そのようなREITのデメリットと、リスクをチェックしていきましょう。

1. 現物の不動産を所有できない

REITにどれだけ多くの資金を投じたとしても、現物不動産は所有できません。
現物の不動産投資ならば、物件を所有することができます。
実際に物件に住んだり、だれかに賃貸で住んでもらうなどのような、投資以外での方法でも活用できるでしょう。

しかし、REITはあくまでも金融商品です。
株式や債券などと同じであり、投資以外での使い道はほぼないと考えられます。

2. 配当控除が適用されない

REITでの分配金は、不動産所得ではなく配当所得に分類されます。
ですが、株式投資の配当金とちがって、配当控除が適用されません。

二重課税を回避するための「配当控除」

株式投資での配当金は、法人税が発生したものから優先的に分配されます。
さらに配当金を分配するタイミングで源泉徴収されてしまうため、二重課税となってしまうのです。

これを回避するためのシステムが配当控除。
確定申告の課税方式で、総合課税を選ぶと配当控除が適用されます。
二重課税分は、投資家に戻ってくるしくみです。

REITは気にする必要なし?

とはいえ、すでにメリットでご紹介しているとおり、REITには法人税が実質免除されるしくみがあります。
それほど気にする必要はないかもしれませんね。

3. 日本では「J-REIT」のみ購入できる

日本で購入できるREITは、J-REITのみ。
海外REITには、直接投資できないので気を付けてくださいね。

4. 価格変動リスク

REITの価格は、不動産市場や経済情勢などの影響を受けて、日々変動しています。
それらは、REIT市場での需給状況によっても変わると予想されているのです。

元本が割れるリスク

REITの元本は保証されていません。
購入したときよりも、値下がりすれば元本割れとなってしまうかもしれません。

予想外の損失が発生することも

REITは、現物の不動産よりも価格の変動が大きいといわれています。
もしかしたら、思いがけないタイミングでの損失が発生してしまうかもしれません。
元本割れによって、ふだんの生活に支障がでたり、精神的に大きなショックを受けるのは避けたいものです。
REITへの投資は、余裕資金を使うことをおすすめします。

5. 倒産・上場廃止リスク

REITの運営は「投資法人」

REITを運営するのは投資法人です。

上場廃止での値下がりリスク

もし投資法人が倒産すると、上場廃止してしまうリスクがあります。

上場廃止すると、市場での売買ができなくなることにより、流動性を失われます。
そのために、値下がりのリスクが発生するのです。

REITは全資金を失うとはかぎらない

株式投資ならば、発行企業の倒産によって投資資金を失ってしまう可能性が高いです。
REITでは、物件を投資対象としているため、すべてを失うとはかぎりません。

投資法人が倒産すると、保有している不動産が売却されることにより、そのお金が投資家に返金されるためです。

ただし、投資資金をすべて回収できるとはかぎりません。
気を付けてくださいね。

J-REITの倒産事例「ニューシティ・レジデンス投資法人」

また、J-REITの倒産事例として、2008年のニューシティ・レジデンス投資法人があります。
気になる方は調べてみてくださいね。

関連リンク

上場REIT初の破綻、ニューシティ・レジデンスが民事再生を申請 | 日経不動産マーケット情報

6. 金利変動リスク

REITの資金は、投資家から集めるだけではありません。
金融機関からの借り入れによって、資金を調達しているケースも多くみられます。

金利上昇によるリスク

その場合には、金利が上がると利払いの負担が大きくなってしまいます。
これにより、REITの収益状況を悪化させてしまうリスクもあるのです。

注意点

ここで注意したいことは、REIT価格の値下がりや分配金の減少。
その代わりに、金利が下がれば収益状況のプラス要因になることも覚えておいてくださいね。

7. 災害リスク

REITの投資対象は物件です。
そのために、台風や地震などのような自然災害の影響を受けてしまうケースもあります。

ある程度の対策は、地震保険などによって可能です。
ただ、物件に大きなダメージがあると、しばらくのあいだは賃料収入が得られません。
そのために、分配金の減少につながるかもしれません。

日本は地震大国なので、J-REITへの投資では注意しておきましょう。
投資するREITを選ぶ場合は、不動産の地域が偏っていないかなどをチェックするといいかもしれませんね。

REITの始め方

最後に、REITの始め方をかんたんに紹介します。

おもな流れ

  1. 証券会社に口座開設する
  2. 投資資金の入金
  3. REITを購入する

口座開設にあたっては、以下のような本人確認書類が必要です。

本人確認書類の例

  • 運転免許証
  • 個人番号カード
  • 住民票の写し/印鑑登録証明書
  • 各種健康保険証
  • パスポート
  • 住民基本台帳カード
  • 在留カード/特別永住者証明書など

証券会社によっては、有効な本人確認書類が異なるケースもあります。
あらかじめに確認しておきましょう。

REITをはじめる場合の注意点

今回は、REIT(不動産投資信託)の概要や、メリット・デメリットを解説しました。

REITは、10万円前後の予算で投資可能です。
そのために、不動産そのものに投資するよりも、資金面のハードルが大幅に下がります。

とはいえ、倒産・上場廃止リスクや、災害リスクなどがあることも忘れてはいけません。

また、REITに投資してみようと思っても、銘柄を選ぶ基準がわからない場合もあるでしょう。
そのようなときは、投資の専門家であるIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)に相談してみてください。
IFAはどの金融機関にも所属していません。
中立の立場からあなたに合った銘柄を提案してくれます。

REITへの投資は、IFAに相談しながらはじめても良いかもしれませんね。

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この記事の監修者

 マネカレ編集部

マネカレ編集部による編集記事です。
マネカレは、2021年9月に開設された資産運用情報メディア。
今後も資産運用やIFAなどに関するさまざまな記事を配信してまいります。

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