投資信託における複利効果の仕組みとは?|マネカレ

投資信託における複利効果の仕組みとは?

相対性理論を発見したことで有名な、理論物理学者のアインシュタイン。
彼は、複利効果を「人類最大の発明」と呼んだといわれています。

とはいえ、投資に慣れていないと、複利がどのようなもので具体的に何が良いのかわからないものです。
何となくすごいとわかっていても、その中身は詳しく知らないという方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、投資信託で効率良く資産を増やすために欠かせない複利について解説します。

投資信託で複利効果を得るための方法も3つご紹介しています。
複利に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。

投資信託の「複利」とは?

投資信託の複利と単利の違い

利益を元手に投資するのが「複利」

複利をかんたんに説明すると、手に入れた利益を元手に投資すること。
投資信託では、運用することで得た利益を使って再投資することを指します。

手に入れた利益を元本(投資の元手)として投資することで、さらに利益を手に入れるチャンスは高まります。
そのために、順調に運用できれば利益を使って、利益を生むシステムを構築できるのです。

反対の「単利」

複利の反対は単利
ここでの単利は、投資信託で手に入れた利益をそのまま受け取ること。
複利とちがって、元本の大きさは変わりません。

複利運用の2つのメリット

1. 運用の効率がアップしやすい

複利での運用は、順調に投資さえできていれば、元本がどんどん膨らみ続けます。
単利でそのまま運用することよりも、効率を上げやすいことがメリットです。

2. 続ければ続けるほど効果アップしやすい

投資期間が長くなるほど、複利効果が高まりやすいのが特徴です。
コツコツと続けるだけでも、大きな利益を生みだせる可能性もありますよ。

複利運用の3つのデメリット

複利運用は運用利益を元本に加えるため、途中で利益を受け取れないのがデメリットです。
投資信託は運用途中でも解約できますが、その場合は複利効果が薄れてしまいます。

また、運用は利益を受け取らないまま継続するので、運用成績が悪くなると一度発生した利益を失う恐れがあります。
加えて運用金額が大きくなると、小さい時と比べて同じ下落率でも損失が大きくなる点にも注意が必要です。

投資信託の複利と単利をシミュレーション

複利と単利で運用成績にどのくらい違いが出るのか、シミュレーションしてみました。
どちらも元本は100万円で、利回りは年3%とします。

年数 複利運用 単利運用
合計金額 利益 合計金額 利益
1 103万円 3万円 103万円 3万円
2 106万900円 3万900円 106万円 3万円
3 109万2,727円 3万1,827円 109万円 3万円
4 112万5,508円 3万2,781円 112万円 3万円
5 115万9,273円 3万3,765円 115万円 3万円
6 119円4,051円 3万4,778円 118万円 3万円
7 122万9,872/円 3万5,821円 121万円 3万円
8 126万6,768円 3万6,896円 124万円 3万円
9 130万4,771円 3万8,003円 127万円 3万円
10 134万3,914円 3万9,143円 130万円 3万円
11 138万4,231円 4万317円 133万円 3万円
12 142万5,757円 4万1,526円 136万円 3万円
13 146万8,529円 4万2,772円 139万円 3万円
14 151万2,584円 4万4,055円 142万円 3万円
15 155万7,961円 4万5,377円 145万円 3万円
16 160万4,699円 4万6,738円 148万円 3万円
17 165万2,839円 4万8,140円 151万円 3万円
18 170万2,424円 4万9,585円 154万円 3万円
19 175万3,496円 5万1,072円 157万円 3万円
20 180万6,100円 5万2,604円 160万円 3万円

※小数点以下は切り捨てで算出

20年間で約20万円の金額差

複利と単利では、20年後の合計金額に約20万円の差が出ました。
元本や利回りが大きければ差はさらに広がるため、複利の偉大さがわかりますね。

資産が倍になる期間がわかる「72の法則」

72の法則とは複利効果で、元本が2倍になるまでの投資期間を求められる法則を指します。
この72の法則を使い、実際に複利効果で元本が2倍になるまでの期間を求めてみましょう。

72の法則の計算式

  • 72÷金利(利回り)=元本が2倍になる期間(年)

試しに、年利回りを3%として計算してみます。

  • 72÷3%=24年

元本が2倍になるのに、24年かかるとわかりました。

ちなみに、単利で元本が2倍になる期間を求められる法則もあります。
それが100の法則です。

100の法則の計算式

  • 100÷金利(利回り)=元本が2倍になる期間(年)

こちらも年利回り3%で計算してみます。

  • 100÷3%=約33年

単利の場合は、元本が2倍になるのに約33年かかるとわかりました。

投資信託で複利効果を手に入れるための3つの方法

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どうすれば投資信託で複利効果を得られるのでしょうか?
ここからは、複利効果を得るための具体的な方法を3つご紹介します。

分配金なしの銘柄を選ぶ

投資信託は、分配金あり分配金なしの2タイプです。
複利効果を得たい場合は、基本的に分配金なしを選ぶ必要があります。
分配金とは、投資信託の運用利益の中から、投資家に還元されるお金です。

分配金なしタイプは分配金が支払われませんが、その分の運用利益が自動的に再投資され、複利効果を得られる可能性があります。

ただし、解約するまで投資信託の運用利益は受け取れませんので、この点は注意してください。

分配金ありの銘柄は再投資型を選ぶ

分配金ありタイプでも、複利効果を期待できる再投資型があります。

分配金ありタイプは、分配金の取り扱い方法を、最初に受取再投資から選べます。
受取を選ぶと、そのまま分配金を受け取れますが、再投資は支払われた分配金が自動的に再投資に回されるため、再投資型を選べば複利効果を得られる可能性があるのです。

ただし、再投資型分配金なしタイプに比べて、税負担の面で差が出るため運用効率が悪くなると考えられます。

再投資型は支払われた分配金に税金がかかりますが、分配金なしタイプはそもそも分配金がなく運用利益に税金はかかりません。
つまり再投資型は税金が引かれた分配金を再投資し、分配金なしタイプは運用利益をそのまま再投資しているのです。

なお、再投資型分配金なしタイプと同様に、解約するまで運用利益は受け取れません。

長期投資する

複利効果をねらうには、長期投資が前提条件となります。
元本が小さいうちは複利効果も小さいままですが、運用期間が長くなるほど大きな成果に期待が持てます。

上記の複利と単利のシミュレーションを見れば、その成果がわかるのではないでしょうか。

また、数年程度ではなく10年・20年と長期で取り組むことが重要です。
加えて投資期間を長くするには、できるだけ早く始めることもポイントのひとつと考えられます。

投資信託で複利効果をねらう場合の2つの注意点

これまで、投資信託で複利効果を得るための方法をご紹介してきました。
ですが、取り組むのはちょっと待ってください。

複利効果をねらう場合には、注意しておきたいポイントが2つあります。

手数料が複利効果に影響する

投資信託には手数料がかかり、それらの負担が複利効果に影響するおそれがあります。
手数料が高ければ、それだけ運用資金が減ってしまうためです。

投資信託にかかる手数料は、おもに3種類です。

  1. 購入時手数料
  2. 信託報酬
  3. 信託財産留保額

このなかでも注意したいのは信託報酬
投資信託を保有しているあいだは、信託報酬が毎日かかります。
そのため、複利効果に影響するおそれがあるのです。

ただし、信託報酬のみを比較して、安い銘柄を選ぶのは良くありません。
なぜなら、信託報酬が高くても運用成績が良い銘柄もあり、反対に安くて運用成績が悪い銘柄もあるためです。

投資銘柄を選ぶ場合は、信託報酬といった手数料だけでなく、過去の運用実績や運用スタイル・純資産総額などを見て、総合的な判断が重要だと考えられます。

毎月分配型と複利効果

投資信託には毎月分配金が支払われる銘柄もありますが、複利効果を狙う際はできるだけ避けた方が良いと考えられます。

ご説明したとおり、分配金ありタイプの再投資型は、運用が順調な場合分配金に税金がかかり、税負担が増えてしまいます。
税負担が増えれば、再投資できる金額は少なくなり、運用効率も下がってしまうのです。

そのため、複利効果を狙う上では、毎月分配型は基本的に避けた方が良いと考えられます。

つみたてNISAで投資信託の複利効果をアップ

これまで分配金ありのファンドで再投資型のコースを選ぶと、分配金に対して税金がかかってしまうと解説してきました。
そんな税金の負担を避けつつ、複利効果をねらう方法がつみたてNISA

つみたてNISAはこちらでも解説していますので、ぜひご覧くださいね。

分配金の再投資には注意

分配金ありタイプの再投資型で、つみたてNISAを利用する場合は注意点もあります。
それは投資枠についてです。

分配金の再投資は、つみたてNISAの投資枠を新たに使用します。
もし、再投資する際に投資枠が残っていない、または上限に近いと課税口座での再投資となります。

これでは非課税枠を活用した再投資ができなくなるので、投資枠がいくら残っているかを把握しておくことが重要です。

投資枠を気にせず運用利益を再投資したい方は、分配金なしを選んだ方が良いと考えられます。

なお、投資枠が残っていない場合の対応は、金融機関によって異なる可能性があるため、事前の確認が必要です。

投資信託で複利効果を手に入れるためには

分配金なし分配金ありタイプの再投資型で長期投資すれば、複利効果を得られる可能性があります。

しかし、長期運用していると途中で不安になったり、緊急事態が起こったりするかもしれません。
そのようなときは、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)に相談すれば適切なアドバイスを受けられます。

IFAは長期的にサポートしてくれるため、運用途中にわからないことが出てきたら、ぜひ利用してみてください。

承認番号: 240125-02

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この記事の監修者

 マネカレ編集部

マネカレ編集部による編集記事です。
マネカレは、2021年9月に開設された資産運用情報メディア。
今後も資産運用やIFAなどに関するさまざまな記事を配信してまいります。

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