米国株式市場(NYダウ指数)は過去30年間にわたって上昇しており、新興国には経済成長率の高い国が多く存在します。
そのような背景もあり、外国株式に注目する人が増えています。
外国株式にかしこく投資するには、NISAを利用することがポイントです。
この記事で、NISAで外国株式を購入するメリットとデメリットを一緒に見ていきましょう。
今後の動向によって、情報発信・更新を随時行う予定ですので、引き続きマネカレをご利用ください。
最新情報などをはじめとしたご質問については、マネカレのお問合せフォームまたはPWM日本証券 (運営会社)で受付中です。
NISAって何?
まず、NISAとはどんな制度なのかおさらいしておきましょう。
NISAとは、Nippon Individual Savings Accountの略で、正式名称は少額投資非課税制度といいます。
投資で得られる利益(配当金や分配金など)に一定期間、税金がかからない非課税制度のことです。
2014年1月にスタートし、2020年12月末時点で1,568 万口座が開設されています。
出典: 金融庁「NISA 口座の利用状況調査 (2020年12月末時点)」
出典: 金融庁「ジュニア NISA 口座の利用状況調査 (2020年12月末時点)」
通常、投資で得た利益には20.315%の税金がかかります。
仮に投資で30万円の利益が発生したとしましょう。
この場合にかかる税金は、30万円×20.315%=6万945円です。
つまり、受け取れるのは23万9,055円です。
同じ条件でNISAを利用していれば6万945円の税金はかかりません。
発生した30万円の利益をそのまま受け取れます。
NISAは3種類
NISAには次の3種類があります。
- NISA (一般NISA)
- つみたてNISA
- ジュニアNISA
種類によって非課税となる投資枠や期間が異なります。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
NISA (一般NISA)
NISA (一般NISA)の非課税投資枠は毎年120万円で、非課税期間は最長5年間です。
120万円×5年間=最大600万円の非課税投資枠を利用できます。
日本に住んでいる20歳以上の人であれば誰でも利用可能です。
対象となる金融商品は以下のとおりです。
(証券会社によっては取扱いのない商品もある)
- 株式投資信託
- 国内上場株式
- 外国上場株式
- 国内ETF
- 海外ETF
- ETN (上場投資証券)
- 国内REIT (J-REIT)
- 海外REIT
- 新株予約権付社債 (ワラント債)
NISA口座は、1人1口座(1金融機関)のみの利用というルールになっています。
そのため、複数の金融機関でNISA口座を申し込み・開設することはできません。
つみたてNISAも同様です。
つみたてNISA
つみたてNISAの非課税投資枠は年間40万円です。
非課税期間は最長20年間と3種類のなかでは最も長く設定されており、非課税投資枠は最大800万円まで利用できます。
一般NISAと同様に、日本に住む20歳以上の人が利用可能です。
対象となる金融商品は金融庁選定の投資信託約200銘柄に限られています。
一般NISAとつみたてNISAは選択制になっており、両方同時に使うことはできません。
ジュニアNISA
ジュニアNISAの非課税投資枠は毎年80万円までです。非課税期間は一般NISAと同じく最長5年間です。そのため最大400万円まで非課税で運用できます。
利用できるのは日本に住んでいる0歳~19歳の人ですが、運用管理するのは口座開設者本人の二親等以内(両親や祖父母など)の親族です。
一般NISAやつみたてNISAには払出し制限がありませんが、ジュニアNISAは口座開設者本人が18歳になるまで払出しできません。
対象となる金融商品は以下のとおりです。(証券会社によっては取扱いのない商品もある)
- 株式投資信託
- 国内上場株式
- 外国上場株式
- 国内ETF
- 海外ETF
- ETN(上場投資証券)
- 国内REIT(J-REIT)
- 海外REIT
- 新株予約権付社債(ワラント債)
NISAは2024年に制度変更
NISAは2024年から制度内容が変わります。
一般NISAは、2023年までだった口座開設可能期間が2028年までと5年間延長されます。
年間の非課税投資枠は2階建て構造となり、1階が20万円、2階が102万円です。原則として、2階部分を利用するには1階部分での投資が必要です。
現状よりもさらに、積立と分散投資を促進するという観点からこのような措置がとられました。
対象商品も1階と2階で異なります。
1階はつみたてNISAの対象商品と同様です。
2階は上場株式や公募株式投資信託などです。
ただし、これまでにNISAを利用している人や投資経験者は、手続きをすれば1階部分を飛ばして2階部分を利用できます。
また、これまでのつみたてNISAの口座開設可能期間は2037年まででした。
しかし制度変更により、5年間延長され2042年までとなります。
なお、ジュニアNISAは利用実績が乏しいとの理由で、新規口座開設は2023年で終了します。
2024年以降は、払出し制限が解除されるため口座開設者本人が18歳に達していなくても、払出しができるようになります。
NISAで外国株式を購入するメリット
外国株式を購入する際にNISAを利用すると、次の3つのメリットが得られます。
- 税金がかからない
- 高配当が期待できる
- 1株から投資可能
税金がかからない
NISAは投資で得られる利益に一定期間、税金がかからない制度です。
そのため、外国株式に投資して得られた利益は、税金が差し引かれることなく受け取れます。
2024年にはNISA制度全体が変わるため、ジュニアNISAを除いて非課税期間は実質5年延長されます。
利益をより手元に残すためにも、外国株式を購入する際は、ぜひNISAの利用を検討してみてください。
高配当が期待できる
外国株式に投資するうえでは、米国株は見逃せない存在です。
AT&Tやコカ・コーラ、ファイザーなど、米国市場には積極的に株主還元を実施する企業が多く存在します。
50年以上にわたり連続増配している銘柄も多く、株主への還元意識の高さがうかがえます。
また、米国にはGAFAMと呼ばれる世界的大企業があることも特徴です。
GoogleやAmazon、Facebookなどは多くの人が知る存在です。
今後、さらに魅力的な商品やサービスを生み出す可能性は十分あるため、外国株式に投資する際はあわせてチェックしてみましょう。
1株から投資可能
日本株は投資単位100株ごとが主流ですが、海外には1株から購入できる国もあります。
そのため、より手軽に投資ができます。
仮に株価1万円の銘柄を日本で購入する場合、1株1万円×100株=100万円となり、まとまった資金が必要です。
しかし、例えば米国株式なら1株から投資できるため、少額の資金で始めることができます。
1株からとなればNISAの非課税投資枠を一気に消費することもありません。
それほど資金はないけれど投資してみたい、そんな方は外国株式なら気軽に始められます。
※ 証券会社によっては、10株以上・100万円以上など売買単位に制限を設けているところもある
NISAで外国株式を購入するデメリット
税金がかからないことや高配当など、メリットが分かったところでデメリットも確認しておきましょう。
デメリットには次の3つがあります。
- 米国株の配当金税額控除が適用されない
- 為替リスクがある
- 新興国はリスクが高い
米国株の配当金税額控除が適用されない
外国株式の中でも米国株に投資する場合、配当に対しては米国と日本それぞれで税金がかかります。つまり二重課税です。
通常の投資では、確定申告で外国税額控除を申請すれば外国での課税分は還付されます。
しかし、NISAでは国内分に税金がかからないため、二重課税と見なされず、外国税額控除は適用されないのです。
とはいえ、通常の投資でかかる国内の税金(20.315%)は不要なため、投資するうえでの条件は有利であるといえるでしょう。
為替リスクがある
外国株式に投資する際は、日本円と現地通貨との為替リスクもあります。
為替相場によっては、損失を出す可能性があるのです。
1ドル=100円のときに1株10ドルのAという銘柄を購入したとします。
このときは1,000円必要です。
しかし、購入後に1ドル=80円となれば株価は1株10ドルのままでもAの価値は800円へと変わります。
つまり、200円の損失を出したということです。
ただし、為替相場によっては逆のパターンも考えられるため、利益が出る場合もあります。
常にデメリットとなるわけではありませんが、この点を覚えておきましょう。
新興国はリスクが高い
新興国と呼ばれる国々に投資すれば、経済が大幅に成長することで大きな利益を得られる可能性があります。
しかし、新興国は経済が発展する余地が大いにあるものの、その反面、安定性に欠けることが特徴です。
政情不安や内戦など、経済に打撃を与える可能性のある事態が起こるかもしれません。
そうなれば株価にも影響を与える可能性があります。
新興国への投資ではメリットばかりに目を向けるのではなく、同時にリスクを抱えていることにも注意してください。
投資初心者には投資信託がおすすめ
外国株式へ投資しようと思っても、初心者がすぐに個別株を購入するのはハードルが高いかもしれません。
そんな投資初心者には、外国株式にも手軽に投資できる投資信託がおすすめです。
投資信託をおすすめする理由は次の3つです。
- 分散投資できる
- プロの投資家が運用
- アクティブ型なら相対的にリターンへの期待が大きい
- 外国株式に投資しやすい
分散投資できる
投資信託は、個人投資家からお金を集めて株式や債券などに分散投資できる仕組みです。
投資は、複数商品を購入してリスクを抑える分散投資が基本です。
投資初心者が最初からひとつの銘柄のみに投資すれば、大きな損失を出してしまうかもしれません。
しかし、少ないものでも数十銘柄、多いものでは数百銘柄で運用する投資信託なら、分散投資の効果で変動リスクを抑えることが期待できます。
投資信託でも非課税制度のNISAを利用できるため、非課税のメリットを受けることが可能です。
どのNISAが良いのかわからない場合は、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)に相談してみましょう。
IFAは、NISAの選び方もアドバイスしてくれます。
投資の気軽な第一歩として、ぜひ活用してみてください。
プロの投資家が運用
購入した投資信託は、個人投資家ではなくファンドマネージャーと呼ばれる投資のプロが運用します。
どの銘柄を購入して、どのような方針で運用するかを投資初心者が判断するのは、やや難しいでしょう。
判断を誤れば、大きな損失につながるかもしれません。
投資の知識をイチから身に付けるにも時間がかかります。
しかし、ファンドマネージャーは経済や金融など、投資信託の運用に必要な専門知識を豊富に身に付けています。
初心者が投資のハードルを下げるためにも、投資信託はおすすめの方法です。
アクティブ型なら相対的にリターンへの期待が大きい
投資信託の投資スタイルには、大きく分けて2種類あります。
インデックス型とアクティブ型です。
インデックス型は、東証株価指数(TOPIX)や日経平均株価、米国のS&P500など、あらかじめ定めた特定の指数(インデックス)と連動することを目標にして運用するタイプです。
そのため、投資初心者にとってわかりやすいです。
一方、アクティブ型は指数や市場全体を上回るパフォーマンスを目指す投資信託です。
投資の専門家が様々な調査・分析を行うので、インデックス型に比べるとコスト(信託報酬)が高くなりやすいです。
また、インデックス型よりも上下ともに変動が大きいものも多くあるため注意が必要です。
投資目的や資産状況に合わせて運用方法を選びましょう。
外国株式に投資しやすい
外国株式へ投資するには、その国の情報を集めなければなりません。
また、外国株式は個人で購入できない・購入しにくい場合もあります。
このような外国株式のデメリットも、投資信託でクリアすることが期待できます。
投資信託はファンドマネージャーが商品選定も担当します。
投資のプロであるファンドマネージャーなら、個人では情報を集めにくい外国株式もしっかり分析・選定してくれます。
経済発展が期待できる外国に投資したい、そんな投資初心者は、ぜひ投資のプロが運用する投資信託を利用してみてください。
まとめ
外国株式に投資するなら、非課税投資枠内であれば利益が発生しても税金がかからないNISAを利用するのがおすすめです。
とはいえ、投資初心者が銘柄を絞って個別株を購入するのはリスクが高いといえます。
資産運用の世界では卵は一つのカゴに盛るなということわざがあります。
カゴを落とすとすべての卵は割れてしまいますが、あらかじめカゴを分けておけば、すべて割れるのを防げるという意味です。
投資初心者が分散投資するには、投資信託がおすすめです。
アクティブ型を選べば指数以上の利益も期待できるかもしれません。
IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)は投資信託に関することはもちろん、NISAの選び方についても相談に乗ってくれます。
NISAを利用した投資を検討中の方は、この機会にIFAに相談してみましょう。