NISAの非課税期間が終了すると、その後はどうなるのでしょうか?
実は、ロールオーバーと呼ばれる手続きをすれば、非課税期間は延長できるのです。NISAでより長い期間資産運用するためには、ロールオーバーのメリットを知っていて損はありません。
この記事では、NISAのロールオーバーをわかりやすく解説します。
ロールオーバーしない場合の例や、手続き方法もご紹介しますので、NISAを利用した資産運用を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
今後の動向によって、情報発信・更新を随時行う予定ですので、引き続きマネカレをご利用ください。
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ロールオーバーとは
ロールオーバーとは、NISAの非課税期間が終了するときにNISA口座内にある金融商品(株式や投資信託など)を、翌年の投資枠に移すことです。
翌年の投資枠は、それまでと同じ金融機関に再設定する必要があります。
たとえば、一般NISAの場合は非課税期間が最長5年間のため、2016年に金融商品を購入していれば2020年に手続きすることになります。
手続き後は、再び非課税で金融商品を運用できることが特徴です。
なお、NISA口座内の金融商品はすべて移すこともできますし、銘柄毎など一部とすることも可能です。
ロールオーバーの2つのメリット
では、NISAを利用している投資家はどんなメリットを得られるのでしょうか?
メリットは次の2つです。
- 非課税期間を5年間延長できる
- 上限金額がない
1. 非課税期間を5年間延長できる
ロールオーバーすれば再びNISA口座で金融商品を保有できます。
つまり、非課税期間を5年間延長できるのです。
当然、保有中の金融商品から利益が出ても、利益に税金はかかりません。
無理にロールオーバーする必要はありませんが、保有中の金融商品がまだまだ値上がりすると考えられる状態なら手続きすることを検討してみても良いでしょう。
もちろん、急にまとまった現金が必要になったなどの理由があれば、売却しても問題ありません。
2. 上限金額がない
金融商品が値上がりして、投資枠の上限を超えていても心配無用です。
ロールオーバーには上限金額がありません。
一般NISAは年間120万円まで利用できますが、値上がりして150万円になっていても、150万円分をそのまま翌年の投資枠に移せます。
ロールオーバー後さらに値上がりしても、利益に税金はかかりません。
ロールオーバーの2つのデメリット
つづいて、以下の2つのデメリットも見ていきましょう。
- 翌年は非課税投資できないかも
- つみたてNISAは対象外
1. 翌年は非課税投資できないかも
ロールオーバーの手続きをすると、翌年の投資枠を消費します。
手続き後に投資枠が残っていれば、残額分のみ新規投資が可能です。
翌年の120万円分の投資枠をすべて消費してしまうと、翌年はNISA口座での投資ができません。
たとえば一般NISAで100万円分をロールオーバーすれば、投資枠は20万円分残ります。
そのため、翌年は20万円分の投資が可能です。
しかし、120万円以上の場合は投資できないため、金融商品を保有するのみとなります。
2. つみたてNISAは対象外
ロールオーバーの対象とされているのは、一般NISAとジュニアNISAです。
残念ながら、つみたてNISAは対象外とされています。
つみたてNISAを利用している場合は、非課税期間が終了すると口座内の金融商品は自動的にNISA口座以外(課税口座)に払い出されます。
ただ、つみたてNISAは非課税期間が最長20年間と長いため、それほど気にする必要はないと考えられます。
ロールオーバーしない場合はどうなる?
非課税期間が終了するからといって、すべての人がロールオーバーする必要はありません。
とはいえ、しなかった場合どうなるかは気になりますよね。
そこで、ロールオーバーしない次の2つのケースをご紹介します。
- 非課税期間内に売却する場合
- 手続きを忘れていた場合
1. 非課税期間内に売却する場合
利益が出ている状態で売却すれば、投資利益が非課税になるメリットを活かせます。
ただし、値下がりしている状態での売却は注意が必要です。
NISAでは損失が出ていても税務上の損失とは見なされません。
そのため、特定口座や一般口座などほかの投資用口座との損益通算ができません。
通常は金融商品に投資して損失が出ても、ほかの投資用口座で利益が出ていれば、損失と利益を相殺する損益通算ができます。
損益通算は損失分で利益を少なくできるため、税金を減らせるメリットがあります。
ところが、NISAではこれができないため、損失が出ている状態での売却は慎重になる必要があるのです。
しかしながら、今後の値上がりが期待できないと判断した場合は当然売却を検討すべきです。
非課税になるメリットを活かすためにも、売却はあくまでも今後の値上がりが期待できない状態で検討することをおすすめします。
2. 手続きを忘れていた場合
手続きをしないと保有中の金融商品は自動的に課税口座へ移されます。
NISA口座で保有している金融商品は、課税口座に移されたタイミングの時価が購入価格と見なされることが特徴です。
値上がりすれば、値上がり分に20.315%の税金がかかります。
手続きを忘れていて、いつの間にか税金がかかる状態だった……。
とならないよう注意してください。
それに一度課税口座に移した金融商品は、再びNISA口座へは移せません。
非課税のメリットは受けられなくなるため、こちらも気を付けたいポイントです。
利用中の金融機関からは非課税期間が終了する旨のメール連絡などがあるため、見逃すことのないようにしてください。
ロールオーバーの注意点
翌年の投資枠は、それまでと同じ金融機関に設定する必要があります。
ほかの金融機関で取り扱っている金融商品に投資したいからといって、そちらに口座開設してしまうと、ロールオーバーの手続きができません。
ロールオーバーしたい場合は、あくまでも同じ金融機関に投資枠を設定しましょう。
ロールオーバーの手続き
手続きでは、現在利用している金融機関にロールオーバー手続きのための書類を提出する必要があります。書類の名称は金融機関によって異なります。
PWM日本証券での書類の名称は非課税口座内上場株式等移管依頼書です。
手続きはインターネットや郵送でできますが、こちらも金融機関によって対応の有無が異なります。
スムーズに手続きを進めるためにも、事前に確認しておきましょう。
まとめ
ロールオーバーすれば、非課税期間を実質10年間まで延長できます。
値上がりが見込める状態で急いで現金化する必要がなければ、ロールオーバーをするメリットがあるでしょう。
手続きを忘れてしまうと、そのまま課税口座に移されてしまうため注意してください。
とくに、損失が出ている状態では当初の購入価格より値下がりしていても、移管後の値上がり分には税金がかかります。
自身の非課税期間は定期的にチェックしておくようにしましょう。
手続き等で不明なことがあったら、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)に相談するのもひとつの手です。
