30代や40代に入ると子どもの教育資金やマイホームの購入費用、老後の備えなど、お金に関する悩みは次々出てくるものです。
そんなお金の悩みを解決するにはNISAがおすすめです。しかし、NISAという言葉は聞いたことがあっても、その中身まではわからない人も多いのではないでしょうか?
この記事では、NISAとはどんな制度なのかを投資初心者にもわかりやすく解説します。
また、NISAの始め方や初心者がとくに覚えておきたいポイントもご紹介しますので、どうにかしてお金を増やしたいとお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。
今後の動向によって、情報発信・更新を随時行う予定ですので、引き続きマネカレをご利用ください。
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NISAはどんな制度?
NISAとは、個人投資家向けの少額投資非課税制度のことです。
NISA口座を開設して決められた投資枠内で金融商品を購入すれば、一定期間は利益が発生しても税金がかかりません。
株式投資など一般的な投資では、売買益や配当金などの利益に対して20.315%の税金がかかります。
しかし、NISAを利用すれば、保有中の金融商品から利益が発生しても税金がかからないため、利益はすべて受け取れるのです。
なお、NISAにはいくつか種類があり、投資枠や税金がかからない期間(非課税期間)はそれぞれ異なります。
NISAの導入背景
2014年からスタートしたNISAですが、導入背景には主に個人の資産作りの促進と、経済成長のための2つの理由があります。
金融広報中央委員会の家計の金融行動に関する世論調査(令和2年)によると、二人以上世帯の16.1%が金融資産を保有していないことがわかっています。
つまり貯蓄がないということです。
単身世帯の場合は36.2%と割合が高くなり、将来に向けた資産形成ができていない人が思いのほかいることがわかります。
しかし、日本の高齢者人口は増加傾向にあるため、若者が将来受け取る年金が十分であるかは未知数です。
そこで個人が投資しやすい環境を作り、年金以外で資産形成できるようにとの狙いが導入背景のひとつとしてあります。
また、日本は諸外国と比べて家計に占める現金・預金の割合が高いといわれています。
そこで国民の意識を貯蓄から投資へと向かわせることで、経済を活性化しようとの狙いがあることもNISA導入のきっかけとなっています。
NISA口座の開設状況
NISA制度が導入されてから口座開設数は増えているのでしょうか?
金融庁の資料をもとに、2014年の制度導入時点と2020年の口座数を比較してみましょう。
2014年
(制度導入時点)2020年
(12月末時点)総数 492万4,663口座 1,220万9,886口座 20代 13万7,580口座 47万3,272口座 30代 32万1,576口座 126万1,900口座 40代 55万9,030口座 185万6,500口座 50代 78万8,778口座 211万5,074口座 60代 147万9,943口座 258万2,000口座 70代 121万5,185口座 261万8,633口座 80歳以上 42万2,571口座 130万2,507口座 出典: NISA・ジュニアNISA利用状況調査|金融庁
全体(総数)では約2.5倍に増えています。
世代別に見てもすべての年代で増えており、とくに20~40代が大きく伸びていることがわかります。
NISAは選べる3種類
NISAには、
- 一般NISA
- つみたてNISA
- ジュニアNISA
の3種類があり、どれを選ぶかで利用できる投資枠などが異なります。
ここからは、NISAの種類ごとの特徴を初心者にもわかりやすく解説します。
一般NISAとは
2014年にスタートした一般NISAは、日本に住む20歳以上の人なら誰でも利用できます。
年間の非課税投資枠は120万円が上限です。
そして利益に対して税金がかからない非課税期間は最長5年間です。
毎年、非課税投資枠を満額使い続ければ、最大600万円を非課税投資できます。
対象となる金融商品は上場株式や株式投資信託・ETF・REITなどです。
これらを一般NISA口座で購入すれば、利益に対して税金がかかりません。
一般NISAは非課税投資枠が120万円と高く設定されていて一括投資も可能なため、まとまった資金のある人におすすめです。
また、株式を含め対象の金融商品が多くあるため、さまざまな商品に投資してみたい人にも向いています。
余裕資金があり、ある程度投資に慣れた人におすすめの種類です。
つみたてNISAとは
つみたてNISAは、長期・積立・分散投資の支援を目的としている非課税制度です。
2018年1月にスタートしました。
一般NISAと同じく、日本に住む20歳以上の人が対象です。
ただし、つみたてNISAと一般NISAは併用できないため、口座開設する際はどちらか一方に絞る必要があります。
非課税投資枠は年間40万円までで、非課税期間は最長20年間と長く設定されています。
20年間つみたてNISAを満額利用すれば、最大800万円の非課税投資が可能です。
非課税期間が長期のため、投資できる期間も2037年までと長く設定されています。
対象の金融商品は長期積立、分散投資に適した金融庁が定めた一定の条件を満たす投資信託とETFのみです。
非課税投資枠が40万円と少額のため、まとまった資金がない人でも気軽に始められます。
購入できる金融商品も事前に絞り込まれているため、投資経験のない初心者にもおすすめです。
ジュニアNISAとは
ジュニアNISAは未成年者を対象とし、2016年1月から導入されました。
利用できるのは日本に住む0~19歳の人ですが、運用するのは二親等以内の親族(両親や祖父母など)です。
そのため、子ども用NISAともいえます。
非課税投資枠は年間80万円が上限で、非課税期間は最長5年間です。
口座開設者が18歳になるまで払い出しはできません。
この点が一般NISAやつみたてNISAと大きく異なります。
子どもが2人いる場合は、2人分の非課税投資枠(80万円ずつ)を利用できます。
また、父親が一般NISA・子どもがジュニアNISAといった使い方も可能です。
ジュニアNISAは教育費や就職祝い金など、子供のための将来資金を効率的に貯めたい人に向いています。
また、子どもの金融リテラシーを高めるための教育手段としてもおすすめです。
非課税期間が終了したら
保有中の金融商品は非課税期間が終了する際はどうすれば良いのでしょうか?
考えられる選択肢は次の3つです。
- 売却する
- 課税口座に移す
- ロールオーバーする
非課税期間終了までに売却すれば、利益に税金はかかりません。
また、売却せずに課税口座に移すと、その時点の価格が購入価格と見なされます。
課税口座へ移した後に価格が上昇して利益が発生すれば、利益に税金がかかります。
もし、資金が必要になったり、これ以上価格は上がらないと判断したりした場合は売却でも良いでしょう。
しかし、課税口座に移した時点の価格が購入価格と見なされるため、場合によっては売却しない方が良いこともあるため注意してください。
また、ロールオーバーという手続きをすれば、非課税期間を5年間延長できます。
当初の購入価格より下がって損失が発生している場合は、ロールオーバーを検討してみると良いでしょう。
仮に100万円で購入した金融商品Aが70万円に下がったとします。
そのまま課税口座に移すと70万円が購入価格と見なされ、利益が発生すれば税金がかかります。
例えば、90万円に価格が戻ったところで売却すると20万円の利益と見なされ、本来であれば10万円の損失が発生しているにもかかわらず、税金を支払う必要が出てくるのです。
以上のことから、資金が必要 or これ以上価格は上がらないと判断した場合以外は、売却せずにロールオーバーを検討することをおすすめします。
NISAの始め方
NISAを始めるまでの流れ
- NISA口座を開設する金融機関を選ぶ
- 金融機関に口座開設を申し込む
- 口座開設が完了
- 投資する金融商品を選ぶ
証券会社にNISA口座を開設する場合は、NISA口座だけでなく証券総合口座の開設も必要です。
また、NISA口座を開設して取引を始めるまでには2~4週間ほどかかるため、手続きは早めにすることをおすすめします。
ただ、投資初心者は、投資する金融商品選びがネックになることもあります。
より簡単にNISAを始めたい方は、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)に相談してみましょう。
IFAなら、金融機関側ではなく常に中立の立場から商品選びをサポートしてくれます。
初めて投資する不安な気持ちも軽くできますので、ぜひ相談してみてください。
NISA初心者が覚えておきたいポイント
ここからは、投資初心者がNISAを始める際に、とくに覚えておきたい3つのポイントをご紹介します。
- ひとり1口座
- 損益通算できない
- 繰越控除できない
ひとり1口座
NISAを利用するにはNISA口座が必要ですが、開設できるのはひとり1口座です。
各金融機関に1口座ずつではなく、すべての金融機関を通じて1口座です。
初心者はとくに間違えやすいため注意してください。
なお、NISA口座を開設している金融機関は1年ごとに変更可能です。
ただし、その年にNISA口座で非課税投資している場合は、翌年にならないと変更はできません。
損益通算できない
NISAでは一般口座や特定口座との損益通算が認められていません。
投資口座Aで損失が発生して、投資口座Bで利益が発生していたとします。
通常の投資であれば損益通算できるため、損失と利益を相殺できます。
損益通算のメリットは節税効果が期待できることです。
利益から損失を差し引ければ、利益にかかる税金は少なくなります。
しかし、損失が発生している投資口座AがNISA口座の場合、投資口座Bとの損益通算はできません。
つまり、NISAで損失が発生しても、税金に対しての優遇措置は受けられないのです。
繰越控除できない
通常の株式投資などであれば、損失を翌年以降に繰り越す繰越控除という制度が使えます。
翌年以降に繰り越した損失は、翌年以降の利益から控除できます。
つまり、利益にかかる税金を少なくできる可能性があるのです。
ところが、NISAは損失が発生しても税務上ないものと見なされるため、繰越控除は使えません。
NISAは利益が非課税になる分、損失に対しては厳しい面があることを覚えておきましょう。
2024年からは「新NISA」に変更
これまで解説してきたNISAが利用できるのは2023年12月まで。
2024年からは新NISAとして制度が生まれ変わる予定です。
新NISAについてはこちらの記事で解説しているので、ぜひご覧ください。
まとめ
NISAには、非課税投資枠や非課税期間が異なる3種類があります。
なかでも、つみたてNISAは少ない負担で始められるため、初心者向きといえるでしょう。
とはいえ、いざNISAで資産運用を始めようと思っても、初心者にとっては商品選びのハードルが高い場合もあります。
そんな高いハードルを下げてくれる存在がIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)です。
IFAなら、商品選びだけでなく、初心者が迷いがちなNISAの選び方もアドバイスしてくれます。
IFAに相談すれば投資初心者もスムーズに資産運用を始められますので、この機会にぜひ利用してみてください。