30代は結婚や出産、マイホーム購入などライフイベントが多く、大きなお金が動く年代です。
将来への不安は漠然とあり、資産形成の必要性は感じるけれど何から始めればいいのか分からない人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、金融機関から独立した立場であるIFA(資産運用アドバイザー)として活動されている、有限会社ココ・DE・プランニング 代表取締役「池原 元樹」さんに、30代からはじめる資産形成の方法についてプロ目線のアドバイスを伺いました。
プロフィール
池原 元樹 (いけはら もとき)
有限会社ココ・DE・プランニング 代表取締役
略歴
1975年島根出身。
島根大学農学部地域開発科学科卒業。
大手住宅メーカー、地元の生活協同組合の経歴を経て、29歳でFPの資格を取得し入社。
島根出雲の地元密着で15年以上1200世帯を超える相談を行い、現在の職に至る。
TSK山陰中央テレビ・FMちゅーピー・山陰中央新報など数々のメディア実績あり。
住宅購入や教育費・老後の年金不足など大きなお金がかかるライフイベントに不安を持つ家計を貯金・保険・ローン・運用という4つの観点から診断・改善する会員制家計相談のお客様継続率は90.9%。
関連リンク
出雲で15年以上の相談実績があるファイナンシャルプランナー事務所 – ココ・DE・プランニング
30代からの資産形成に関する10の質問
——【Q1】30代で資産形成をしている方はどれくらいいるのでしょうか?
池原元樹さん(以下、池原): 30代の20%程度が、資産形成のために株式や投資信託をしています。
ただし、個人年金や変額保険・iDeCoなどを利用している人を含めると20%以上はいるでしょう。
——【Q2】30代ではどのような目的を持って資産形成をしている方が多いですか?
池原: 30代は、大きなお金が動くライフイベントが増えていきます。
具体的には結婚や住宅・自動車の購入・子供の出産や育児・将来に備えて教育資金や老後資金の積立をはじめる人が多いですね。
最近では老後の年金を補填するために資産形成に取り組む30代が少しずつ増えてきました。
——【Q3】30代から資産形成をはじめるメリットは何でしょうか?
池原: 運用期間が長くとれることです。
資産運用するにあたり発生するリスクを減らすためには、長期で取り組むことがポイントですね。
また運用期間が長ければ長いほど、複利の効果が出やすくなります。
複利とは、得られた利益を運用して、さらに利益を生むことです。
そのため、資産形成を始めるなら、早いに越したことはありませんよ。
——【Q4】資産形成を始めるのにまとまった資金は必要でしょうか?
池原: もちろんまとまった資金があればより運用益は大きくなりますが、必ずしもまとまった資金が必要というわけではありません。
月々1万円や2万円から投資ができる積立投資、なかには1,000円単位で始められる商品もありますね。
まとまった資金がなくても、できる範囲でできるだけ早くスタートを切ることが重要です。
——【Q5】貯金を積み重ねるだけではいけないのでしょうか?
池原: 貯金は今の日本においてはほとんど利息がつかないため、子どもの教育資金や老後資金までカバーすることは難しいと考えています。
今の収入と毎月の貯金額から60歳までの資金計画を立ててみてください。
結婚や出産、マイホームの購入や教育資金など必要なお金を計算すると、ほとんどの人が貯金だけでは生活費用が足りないはずです。
物価上昇のリスクに備えるためにも、貯金だけでなく資産運用をするべきなのです。
10〜20年後に使うお金は、ある程度増えるように運用しましょう。
ただし、生活予備資金や3年以内に使う予定のあるお金は貯金でも大丈夫です。
【ミニコラム】貯金では難しい要因「物価上昇リスク」
物価が上がれば上がるほど、ほとんど利息のつかない貯金は目減りしている状況になります。
これを物価上昇リスクと呼びます。
日本銀行がたてる物価上昇目標によると、物価2%上昇を目標としています。
たとえば、今まで100万円だった生活費が1年後には2%上昇し、102万円かかることになります。
しかし、手元にある100万円を1年後のために貯金しても利息はほとんどつきません。
つまり、生活費に102万円必要なのに、手元には100万円しかないということです。
毎年2%ずつ物価が上昇すると、現在100万円で買えるものが30年後には約181万円に値上がりします。
言い換えると、現金100万円の貨幣価値が30年後には約55.2万円に目減りしてしまうのです。
——【Q6】30代からの資産形成で注意すべきポイントを教えてください
池原: ネット上のギャンブル性が高い情報には気をつけてください。
一歩間違えれば投資したお金がゼロになるリスクもあります。
気になる金融商品や投資・運用テクニックの情報を見つけたら、
ギャンブル性が高いものなのか?
しっかり資産形成できるものなのか?
などのポイントを必ず確認しましょう。
また、手元にあるお金が運用に回していいものなのかどうかの判断も必要です。
——【Q7】まずは何から始めればいいでしょうか?
池原: まずは資産形成する目的を決めることから始めてください。
運用に回してもいいお金だと判断したあとは、資産運用の目的を設定しましょう。
たとえば、
子どもの教育資金にするのか
自分の老後資金にするのか
といったようなものです。
——【Q8】投資信託やNISA・iDeCoなど、さまざまな資産運用方法があるなかで、選ぶ時の基準は何でしょうか?
池原: 大前提として資産運用は利益が出なければ意味がありません。
したがって、きちんと利益の出る方法であるかが選ぶ基準です。
また、NISAやiDeCoは制度の名前で、どちらも利益が非課税になる特徴があります。
NISAとiDeCoを使い分ける基準としては、いつ使うお金なのかという点を意識します。
NISAは子どもの教育資金や住宅資金など、老後までに使うお金に向いています。
iDeCoは60歳まで引き出せないため、老後に使うお金に向いています。
——【Q9】30代からの資産形成を考える方が、IFAに相談するメリットは何でしょうか?
池原: 資産形成の成功率をあげるには継続することが、いちばん大切です。
相場が良い時は誰でも継続できますが、相場が悪くなると混乱してしまい継続が難しくなる恐れがあります。
そんな状況に陥った際に、正しい判断や対策を取ることができるかどうかが継続の鍵です。
IFAがアドバイザーとして付き添っていれば、今世の中でどんなことが起きていて、どんな状況なのかを知ることができます。
またその状況下で、どういう行動や判断を取るべきかのアドバイスを受けることもできます。
最近では、コロナショックで世間も混乱し情報が錯乱しました。
そのような中で、正しい判断に導いてくれることが最大のメリットではないでしょうか。
——【Q10】これから資産運用をお考えの30代の方へ、メッセージをお願いします!
池原: 30代はまだまだ運用期間が長くとれるため、将来に向けてしっかり資産形成できます。
さらに今は、NISA・iDeCoのように有利な制度や、少額からでも積立ができる制度もあり、資産運用へのハードルは低くなっていますね。
また、今の30代はSNSやYouTubeなどの動画で資産運用について情報を得る機会が多くあります。
そのため、資産運用に前向きな人も増えているように感じます。
少しでも早く資産運用を始めることで子供の教育資金や老後資金など将来の不安を減らしましょう。