NISAとiDeCoの違いは?どっちを選ぶべきか解説|マネカレ

NISAとiDeCoの違いは?どっちを選ぶべきか解説

資産運用を始めようとする方のなかには、NISAiDeCoのどちらが良いのか迷う方も多くいます。
将来のための資産運用と目的は共通していますが、具体的にはどんな違いがあるのでしょうか?

今回は、NISAiDeCoの特徴や違いを、投資初心者にもわかりやすくご紹介します。
2つを比較したうえで、どちらがおすすめかも解説しますので、より手軽に資産運用を始めたい方はぜひチェックしてみてください。

新NISAの情報について
NISA関連の情報については、各種法制度の改正などに基づいて変更されます。
今後の動向によって、情報発信・更新を随時行う予定ですので、引き続きマネカレをご利用ください。
最新情報などをはじめとしたご質問については、マネカレのお問合せフォームまたはPWM日本証券 (運営会社)で受付中です。

 

NISAとは

NISAとは、個人投資家のための少額投資非課税制度のことです。
イギリスの個人貯蓄口座「ISA」を参考にしており、2014年01月からスタートしました。

NISAには、

  1. 一般NISA
  2. つみたてNISA
  3. ジュニアNISA

と3種類があります。

NISA口座を開設できるのはすべての金融機関を通じてひとり1口座のため、3種類すべては利用できません。
口座開設時にどれか1種類を選ぶ必要があります。

そして種類ごとに投資可能商品が異なります。
一般NISAとジュニアNISAの投資可能商品は種類が多く、国内上場株式や海外上場株式・投資信託・ETFなど、いろいろな金融商品への投資が可能です。

つみたてNISAでは投資初心者が利用しやすいようにと、金融庁が定めた基準をクリアした一定の投資信託とETFのみに限られています。

NISAの3つの特徴

では、NISAの特徴を具体的に見ていきましょう。
NISAの主な特徴は次の3つです。

  1. 投資利益が非課税
  2. 投資枠や非課税期間は種類ごとに異なる
  3. ロールオーバーで非課税期間は延長可能

投資利益が非課税

NISA口座を利用して株式や投資信託に投資すると、投資利益(譲渡益や分配金)が非課税となります。
つまり「投資利益に税金がかからない」ということです。

一般的な株式投資等では、投資利益に20.315%の税金がかかります。
10万円の投資利益が発生すれば、税金で2万315円(20.315%)が差し引かれ、手元に残るのは約8万円です。

納税は国民の義務ですが、NISAを利用すれば投資利益は丸々残せるため、活用しない手はありません。
効率的に資産運用するためには、NISAはおすすめの制度といえます。

投資枠や非課税期間は種類ごとに異なる

NISA口座を利用すれば、いくらでも金融商品に投資できるわけではありません。
NISAの種類ごとに、非課税投資枠は上限が定められています。

また、NISAで投資利益に税金がかからないのは一定期間です。
非課税期間もNISAの種類ごとに定められており、内容が異なります。

それぞれの非課税投資枠と非課税期間は次の通りです。

非課税投資枠 非課税期間 対象者
一般NISA 新規投資額で年間120万円まで 最長5年間 日本に住んでいる20歳以上の人
ジュニアNISA 新規投資額で年間80万円まで 最長5年間 日本に住んでいる0~19歳の人

ロールオーバーで非課税期間は延長可能

NISAの非課税期間は種類ごとに定められていますが、ロールオーバーと呼ばれる手続きをすれば実質、期間を延長できます。

ロールオーバーとは、現在利用している金融機関に翌年の非課税投資枠を再設定し、保有している金融商品を移管することです。

非課税期間はすべてのNISAで延長できるわけではなく、一般NISAとジュニアNISAが対象です。
どちらも非課税投資枠を再設定するため、非課税期間は5年間プラスされて最大10年間になります。

iDeCoとは

iDeCo (個人型確定拠出年金)とは、2002年に制度運用がスタートした私的年金制度のことです。
iDeCoを簡単に説明すると自分で金融商品等を運用して年金を作る制度といえます。

20歳以上60歳未満の方が利用できます。
利用者は60歳になるまで掛金を拠出し、60歳以降に一時金や年金として資産(運用益を含む)を受け取ります。

そして掛金には上限があることが特徴です。
上限額は職業や加入している年金制度によって異なり、月額1万2,000円(年額14万4,000円)~月額6万8,000円(年額81万6,000円)です。

運用商品には、元本保証型商品(定期預金や保険)や投資信託があります。

iDeCoの3つの特徴

iDeCoには、主に次の3つの特徴があります。
それぞれを詳しく見ていきましょう。

  1. 掛金が全額所得控除
  2. 運用益が非課税
  3. 受け取るときも控除が適用

掛金が全額所得控除

iDeCoの掛金は全額が所得控除の対象となります。
通常は収入に応じて所得税や住民税を支払う必要がありますが、iDeCoを利用すれば収入から掛金分が控除(差し引かれる)されます。

そのため、iDeCoには所得税や住民税の負担を減らせる効果があるのです。

仮に、

  • 掛金が月1万円で所得税が10%
  • 住民税が10%

だった場合は、年間2万4,000円の節税効果が得られます。

iDeCoを利用している間はずっと掛金が所得控除の対象となるため、期間が長くなるほど節税効果は大きくなります。

運用益が非課税

iDeCoの運用益には税金が一切かかりません。
NISAの特徴でも解説しましたが、通常の投資では運用益に20.315%の税金がかかります。
また、iDeCoの運用商品に含まれている定期預金も、通常は利息に税金がかかります。

しかし、iDeCoを利用すれば、定期預金の利息を含む運用益には税金がかかりません。
NISAと同様に税金分がお得になるのです。

それに、iDeCoでは運用益が再び運用に充てられるため、複利効果が期待できます。
複利は元本に利益がプラスされて、その合計からさらに利益を生む仕組みです。

複利効果は長期になるほど大きくなるため、iDeCoを利用すれば効率的に老後資金を蓄えられる可能性があります。

受け取るときも控除が適用

掛金や運用益で蓄えてきたiDeCoの資産は、受け取り方法ごとに控除が適用されます。
iDeCoの資産の受け取り方法は、まとめて受け取る一時金と、分割で受け取る年金から選べます。
そして一時金に適用されるのは退職所得控除です。
年金に適用されるのは公的年金等控除です。

どちらを選んでもiDeCoの資産の受け取り分は所得から差し引かれるため、税負担を減らせます。

さまざまな控除が適用されれば、老後のお金の不安を小さくするのに役立つと考えられます。

NISAとiDeCoの比較一覧表

NISAとiDeCoの違いを一覧表にまとめてみました。
資産運用を始める際の参考にしてみてください。

NISA
一般NISA つみたてNISA ジュニアNISA
対象者 20歳以上の人 0歳~19歳の人
年間投資限度額 120万円 40万円 80万円
非課税期間 最長5年間 最長20年間 最長5年間
投資可能商品
  • 上場株式
  • ETF
  • ETN
  • REIT
  • 株式投資信託
  • 新株予約権付社債
金融庁の基準をクリアした一定の投資信託とETF
  • 上場株式
  • ETF
  • ETN
  • REIT
  • 株式投資信託
  • 新株予約権付社債
資産の引き出し 制限なし 制限なし 原則18歳まで不可
税制上のメリット 運用益が非課税
iDeCo
対象者 20歳~60歳未満の人
年間投資限度額 自営業者 会社員 公務員 専業主婦(夫)
81万6,000円 14万4,000円~27万6,000円 14万4,000円 27万6,000円
非課税期間 制限なし
投資可能商品
  • 元本確保型商品(定期預金や保険)
  • 投資信託
資産の引き出し 原則60歳まで不可
税制上のメリット
  • 運用益が非課税
  • 掛金が全額所得控除
  • 受取時に退職所得控除or公的年金など控除

iDeCoよりNISAをおすすめする4つの理由

人差し指を上げるIFAの男性

iDeCoとNISAのどちらで資産運用を始めたら良いか決めきれない方には、NISAをおすすめします。
NISAをおすすめする理由は次の4つです。

  1. 購入時の手数料が不要(つみたてNISA)
  2. いつでも引き出せる/
  3. 60歳以上の人も利用できる
  4. 運用できる金額が多い

1. 手数料が不要

iDeCoは、加入時や掛金納付の度等に手数料がかかります。
しかし、つみたてNISAは口座開設時や金融商品を購入する際にiDeCoのような手数料は発生しません。

余計な費用負担なく資産運用を始めたい場合は、つみたてNISAがおすすめです。

iDeCoの各種手数料

加入時

2,829円(税込)

掛金納付時

105円(税込)

掛金の還付が発生した場合

1,048円(税込)

運営管理手数料

金融機関ごとに異なる
(無料の金融機関もあり)

2. いつでも引き出せる

NISA(一般NISAとつみたてNISA)には払出し制限がないため、好きなタイミングで売却・現金化が可能です。
しかし、iDeCoは原則として60歳になるまで資産が引き出せません。

もし、急な病気や怪我でまとまった現金が必要になっても、iDeCoでは対応できません。

NISAなら、一般NISA or つみたてNISAと条件は付くものの、現金が必要になる場面に対応しやすいメリットがあります。

3. 60歳以上の人も利用できる

NISA(一般NISAとつみたてNISA)は、20歳以上の方なら誰でも利用可能です。
しかし、iDeCoは「20歳以上60歳未満」以外の方は利用できません。

もし50代から利用し始めても、運用できるのはわずか数年程度です。

2022年5月からiDeCoの対象者は「65歳まで」と年齢制限が変更されますが、上限があることに変わりありません。

NISAであれば、上限年齢を気にすることなく資産運用を始められます。

4. 運用できる金額が多い

一般NISAならiDeCoよりも多い金額を運用できます。
一般NISAの非課税投資枠の上限は年間120万円ですが、iDeCoは最高でも81万6,000円です。
実に40万円ほどの差です。

一括投資で大きな利益を狙いたい場合には、とくに金額面が大きく影響する可能性があります。

また、一般NISAは投資可能商品の種類も多いため、投資の自由度が高い点もメリットといえます。

NISAを始めるなら投資信託

NISAとiDeCoを比較して、

NISAで資産運用を始めよう!

と決めた方には投資信託がおすすめです。
投資信託は投資初心者が利用しやすい金融商品のひとつです。

最後は、投資信託の3つのメリットをご紹介します。

  1. 投資のプロが運用を代行
  2. 分散投資が可能
  3. 個人では投資が難しい資産にも

1. 投資のプロが運用を代行

株式投資等、一般的な投資では金融商品を購入したら自分で運用する必要があります。
しかし、投資信託は投資経験が豊富なファンドマネージャーが自分の代わりに運用することが特徴です。

いわばほったらかしにできるため、投資の専門知識や経験がない方でも気軽に始められます。

2. 分散投資が可能

投資信託は1銘柄を購入するだけで、分散投資効果を得られる可能性があります。
投資信託は1銘柄といっても、その中身はさまざまな株式や債券等、複数資産で構成されていることが特徴です。
※投資信託には株式のみや、債券のみで構成されている種類もあります。

仮に個別の株式1銘柄のみに投資すれば、値下がりした場合に大きな損失が発生するかもしれません。
しかし、複数資産で構成されている投資信託では、構成資産同士で時価変動のリスクを抑えられる可能性があるのです。

また、個別株をいくつも購入してリスクを分散させようとすると、資金面での負担が大きくなる可能性があります。
一方、投資信託は1円単位で投資できるものが大半あり、資金面の負担を抑えながら分散投資効果が期待できるのです。

※投資信託には株式のみや、債券のみで構成されている種類もあります。

3. 個人では投資が難しい資産にも

投資信託には、新興国の株式やコモディティなど、個人では投資しにくい資産を投資対象としているものもあります。

とくに新興国は経済が未成熟のため、今後大きく成長する可能性があります。
また、政治や社会情勢が不安定な場合にはリスクが大きくなると考えられますが、新興国はその分大きなポテンシャルを秘めていることが特徴です。

積極的に投資に取り組みたい方には、この点が大きなメリットとなるでしょう。

まとめ

今回はNISAとiDeCoの特徴を解説してきました。
運用益が非課税になることは共通していますが、NISAはいつでも引き出せることや、60歳以上の人でも利用できること等が違いです。

NISAはiDeCoより投資可能商品も多いため、自由度の高い投資が可能です。
NISA口座の開設には費用もかからないため、より気軽に始められます。

とはいえ、実際に資産運用を始めるには、投資する商品選びに迷う方も多くいます。
資産運用のハードルをさらに下げるには、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)を味方に付けるのがおすすめです。
IFAは中立の立場から商品選びをサポートしてくれますので、これから資産運用を始める方はぜひ相談してみてください。

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この記事の監修者

 平川雅樹

PWM日本証券株式会社 取締役

1986年、山一証券に入社。個人営業部門に従事する。
同社廃業後は、東京スター銀行における金融サービスの企画立案・営業推進や、日興アセットマネジメントの運用報告会・顧客セミナーの講師を経験。

2016年、プルーデントファイナンシャルパートナーズの代表取締役社長として、年間50回(のべ5,000人)におよぶ資産運用セミナーを実施する。

2021年より、現職の取締役 営業本部長に就任。
営業推進部・営業統括部・資産形成推進部・DC業務推進室を管掌しつつ、IFAビジネスに従事している。

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