(写真=mimi@TOKYO / PIXTA[ピクスタ])|210825-3
NISAで資産運用を始めようとお考えの方は、2024年からNISA制度全体が改正されることをご存知ですか?
改正ポイントを正しく理解していないと、効率の良い資産運用ができないかもしれません。
この記事では、NISAの改正ポイントや、改正後のロールオーバーについて解説します。
将来のお金の不安を小さくするためにも、まずはNISAの改正ポイントをしっかり理解していきましょう。
NISA制度のおさらい
まずは、NISA制度がどんな制度なのかおさらいの意味でご紹介します。
NISA制度は、2014年1月に開始された個人投資家のための税制優遇制度です。
- 一般NISA
- つみたてNISA
- ジュニアNISA
の3種類があります。イギリスの個人貯蓄口座ISAがモデルとなっており、NIPPONのNを追加してNISAと名付けられました。
通常の投資利益には20.315%の税金がかかります。
しかし、NISA口座を利用すれば投資利益に税金がかからなくなります。
そのため、投資家にとっては税金分がお得になる制度です。
ただし、ずっと投資利益に税金がかからないわけではありません。
NISAの種類ごとに、投資利益に税金がかからない期間(非課税期間)と、年間で投資できる金額(非課税投資枠)が決められています。
NISAの改正ポイント
2024年からはNISA制度のどんなところが変わるのでしょうか?
以下の順で、NISAの改正ポイントを見ていきましょう。
- 一般NISA
- つみたてNISA
- ジュニアNISA
一般NISA
現行の一般NISA | 改正後の一般NISA | |
---|---|---|
年間の非課税投資枠 | 120万円まで |
|
非課税期間 | 最長5年間 |
(1階は終了後につみたてNISAへ移行できる) |
口座開設ができる期間 | 2014年(平成26年)~2023年(令和5年) | 2014年(平成26年)~2028年(令和10年) |
投資対象商品 |
|
|
3種類のNISA制度のなかで改正ポイントが多いのが一般NISAです。
一般NISAの非課税投資枠は2階建て構造に改正されます。
2階部分を利用するには、原則1階部分での投資が必要です。
ただし、すでにNISA口座を開設している人や、上場株式などの取引経験者はすぐに2階部分を利用できます。
1階部分をすべて使いきらなくても2階部分は利用できます。
1階と2階の同時利用も可能です。
投資可能商品も1階と2階で異なります。
1階部分はつみたてNISAと同様に改正されることがポイントです。
注意点としては、投資経験者が2階部分のみを利用する場合、投資できるのが上場株式だけとなることが挙げられます。
つみたてNISA
現行の一般NISA | 改正後の一般NISA | |
---|---|---|
年間の非課税投資枠 | 40万円まで | |
非課税期間 | 最長20年間 | |
口座開設ができる期間 | 2018年(平成30年)~2037年(令和19年) | 2018年(平成30年)~2042年(令和24年) |
投資対象商品 | 金融庁が定めた基準をクリアした投資信託 |
つみたてNISAは改正後もほぼ同じように利用できます。
改正されるのは口座開設ができる期間のみです。
ジュニアNISA
現行のジュニアNISA | 改正後のジュニアNISA | |
---|---|---|
年間の非課税投資枠 | 80万円まで | 終了 |
非課税期間 | 最長5年間 | |
口座開設ができる期間 | 2018年(平成28年)~2023年(令和5年) | |
投資対象商品 |
|
ジュニアNISAは口座開設数がそれほど伸びていないため、2023年末で制度自体が終了します。ちなみに2021年3月末時点の口座数は、一般NISAが約1,224万口座、つみたてNISAが約361万口座、ジュニアNISAは約50万口座です。(*1)
制度終了に伴い払出し制限は無くなります。いつ払出しをしても投資利益に税金はかかりません。
制度終了後も口座開設者が成年年齢になるまでは、口座内の金融商品はそのまま保有できます。
*1出典: NISA・ジュニアNISA利用状況調査|金融庁
改正後はロールオーバーできる?

(写真=タカス / PIXTA[ピクスタ])|210825-3
2024年以降はロールオーバーについても改正されるのでしょうか?
次は、ロールオーバーの仕組みを振り返りつつ、改正後のポイントを解説します。
ロールオーバーの仕組み
ロールオーバーとは、NISA口座内で保有中の金融商品を非課税期間終了時に翌年の非課税投資枠に移管する手続きのことです。
非課税期間を延長する方法ともいえます。
一般NISAとジュニアNISAが対象です。
ただし、ジュニアNISAは口座開設者が20歳になるまで継続管理勘定への移管となるため、手続き後は新規買付ができません。
移管できる金額に上限はないため、投資利益が発生して非課税投資枠の上限を超えていてもそのまま移管できます。
「一般NISA」から「新NISA」へロールオーバーできる
現行の一般NISAを利用している場合は、非課税期間終了時の価格で新NISAへ移管されます。
新NISAの非課税投資枠は2階部分から消費されることが特徴です。
2階部分の102万円を超えている場合は、1階部分の枠も消費されます。
2階と1階の両方で消費し切れなくても、そのまま移管できます。
たとえば保有している金融商品の価格が150万円に上昇していても、2階部分と1階部分を消費することになりますが、すべてを新NISAへ移管できます。
「新NISA」から「新つみたてNISA」へも可能
新NISAの1階部分で投資した金融商品 (投資信託)は、非課税期間終了後に新つみたてNISAへ移管できる見込みです。
この場合は簿価ベースとなります。
簿価とは当初の購入価格という意味です。
非課税期間は新NISA(最長5年間)+新つみたてNISA(最長20年間)となるため、金融商品を最大25年間も非課税保有できます。
NISA口座の開設方法
NISA口座開設の流れ
- 口座開設する金融機関を選ぶ
- 金融機関に口座開設を申請する
- 税務署で二重口座になっていないか確認作業が行われる
- 口座開設が完了
- 取引開始
すべての金融機関を通じてひとり1口座のみ開設できます。
各金融機関に1口座ずつと間違って認識している人も多いため、気を付けてください。
また、証券会社では証券総合口座の開設も必要です。
銀行の場合は普通預金口座と特定口座等の開設も必要です。
まとめ
NISA制度が改正される2024年以降は、一般NISAの仕組みが大きく変わります。
やや複雑になりますが、1階部分は新つみたてNISAへのロールオーバーが可能です。
非課税期間を最大25年間にできるため、上手に活用して効率の良い資産運用につなげてください。
また、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)に相談すれば、どのNISAが自分に合っているかのアドバイスを受けられます。
より安心して資産運用に取り組みたい方は、ぜひ相談してみてください。